From the monthly archives: "8月 2026"

「こころの時代──ファンタジーに秘められた宗教」がNHK・Eテレで6回シリーズで放映されています。これまで5回放映されましたが、1回目と4回目が出色だったと思います。1回目のサン=テグジュペリーの回を見ていて思ったことですが、小さな王子が言うと「大切なことは目に見えない」という言葉がずしんと響いてくる。ところが、同じことを「大人や政治家や老人」が言ったらどうでしょう。プチの反対のグラン(将軍ド・ゴールのことらしい)に言われたら、上からの説教あるいは命令になってしまう。無力な子ども(プチ)に言わせるところが、ファンタジーですね。上下関係をひっくりかえすと、何かがうまれる。だから「星の王子さま」というのは、やはり誤訳だと思いました。星の王子というと、星という超越的なレベルからのお説教になってしまいます。しかしサン=テグジュペリは「星の王子」とは言っていません。「小さな」王子と言っています。「グラン」に対抗する「プチ」。大きなド・ゴールでない、小さな子どもの王子。その小さな王子が、物語がすすむと、だんだん幼子イエスに見えてくる。最後は昇天して新約聖書のファンタジーに見えてくる。これはとても面白い。また、小さな王子が、星めぐりをして、さいごに地球にやってくるのは、あたかも「銀河鉄道の夜」につながっているかのようでした。


9月19日(土曜日)に、愛知県知多市の認定NPO法人ゆいの会35周年記念イベントで、「宅老所よりあい」の村瀨孝生さんと安立清史が、『介護のドラマツルギー』について記念トークを行います。


 

夏休みとなると「銀河鉄道の夜」ですね。NHKでもアニメ「銀河鉄道の夜」が放映されたし、Eテレの「こころの時代」でもファンタジーに秘められた宗教として「銀河鉄道の夜」が紹介されました。何度も見た映画なのに見るたびに新しい。今回は「ハレルヤでなくハルレヤ」ということに気づかされた。アニメでは後半のハイライトのひとつ、タイタニック号で遭難した子どもたちが十字架の駅で降りていくシーン。かならずヘンデルのメサイヤが流れる。メサイヤはハレルヤ、なんの疑いもなくそう聴いていた。

ところが、賢治は「ハルレヤ」と書いているのだった。えっ、と驚いた。そうだったっけ?。調べてみるとたしかにそうだ。ふつうは「誤記」としてハレルヤに訂正されてしまうらしいが、賢治はあえてハレルヤをハルレヤと書き直しているらしい。これは謎解きの入り口だったのか。賢治の法華経信仰とキリスト教との微妙な関係──調べてみるといろいろな説が開陳されている。キリスト教そのものでなく、その日本的な受容の姿としてのハルレヤなどと……なるほど、これは面白いですね。


真夏の愉しみのひとつは露天の「屋外プール」に浮かんでぼんやりすること。福岡市の市民プールでは夏休み期間限定の屋外プールの開放がある。子ども用プールなので、わずか30センチくらいの浅いプールだが、そこに仰向け大の字になって浮かぶ。それには、うまく呼吸を整え、全身を脱力しなければならない。けっこうコツがいるが、この浮遊感がいい。プールに浮かんで空をみると、見上げるのでなく、見下ろす、という不思議な逆転感覚が生まれる。これは屋外プールでしか経験できない感覚ではないだろうか。上空を、とんびやつばめやトンボが飛んでいる。福岡空港へ着陸するための飛行機がひっきりなしに通る。でも、プールにうかぶと耳は水の中なので静かだ。こうやって、書き物の構想をねったり、宇宙に思いをいたしたりする。7月中の屋外プールは温泉みたいだった。8月もお盆が近くなると水温は行水のように涼しくなる。日が傾いていくのも1日ごとにはやまる。鰯雲がみえる。酷暑の夏も終わり始めているのだ。


「菫ほどな小さき人に生れたし」という夏目漱石の句があります。

ベランダに菫を何鉢も栽培していますが、スミレは春先に一度さくと、あとは自家受粉で花をさかせずにタネをつけます。その菫にやってくるのが、ツマグロヒョウモン(蝶)です。一昨年はスミレの葉を食べつくしました。昨年は来ませんでした。今年はまたきました。都心のマンションの2階のベランダにある数鉢の菫など、どうやって見つけだすのでしょう。自然の神秘ですね。さっときて産卵していったのでしょう。あっとういまに10匹以上の幼虫がスミレの葉を食べ始めました。一週間ほどであらかた食べ尽くし、その後どうなるかと思って心配していましたが、4、5匹が蛹になりました。そして8月上旬のある日の朝、いっせいに羽化して、あっというまに飛び立っていきました。確認できたところでは、メスが1羽、オスが3羽くらいでした。