つげ義春が亡くなって多くの追悼記事が出ています。私が初めてつげ義春という名を知ったのはNHKの佐々木昭一郎さんのドラマ「紅い花」(1976)からでした。きくところによれば、つげさんは佐々木さんのドラマを評価しなかったそうです。どうしてなんでしょうね。私などは一発で佐々木ドラマに魅了されたのですが。
ところでスペインの映画監督ビクトル・エリセの代表作「ミツバチのささやき」(1973)を最近見直してみると佐々木ドラマの「紅い花」と共振するものを感じるのです。似ているのです。どこが。脱走兵と孤独な少女の接近遭遇というテーマが。
制作された時間順でいうと、つげさんの漫画、エリセの「ミツバチ」、佐々木さんの「紅い花」となります。エリセの映画の日本公開は1985年だし佐々木さんのドラマには脚本家がいるという具合に事情は錯綜していますから、単純に影響関係は言えないと思います。ですが不思議な共通性と共振を感じます。佐々木さんのドラマにも、エリセの映画にも、戦争の記憶と脱走兵がでてきます。主人公の少女が幻視しやすい子供です。大人の戦争から脱出してきた脱走兵と少女がふれあいますが脱走兵は殺されます。そして少女は謎をかかえて沈黙しながら成長していくのです(これは、エリセの「エル・スール」など彼の映画に共通していますね)。漫画も、ドラマも、映画も、それぞれに深い味わいがあると思います。





