ポルトガルの映画監督マノエル・ド・オリヴェイラの「アブラハム渓谷 (完全版)」を、福岡市総合図書館シネラで見ました。なんと休憩なしの203分(3時間23分)です。こんな長尺映画をいっきに見たのは久しぶりです。「ニッポン国古屋敷村」以来かもしれません。YouTubeやDVDなどでは、ぜったいにこんなに長時間ひとりで見続けることはできないでしょう。映画館ならではの魔力ですね。フローベールの「ボヴァリー夫人」を翻案したそうですが、ふしぎな映画で、いまの時代、「ボヴァリー夫人は私だ」というように物語そのものに引き込まれる感じではありません。むしろ主演女優のレオノール・シルヴェイラが、3時間の中でしだいにふしぎな妖艶さに変容していくさまに魅入られる。ファム・ファタルというのとはちょっと違う。悪女タイプともちがう。フローベールの時代に新しかったことと、20世紀のポルトガルの地方の村の出来事が、とてもそうは見えないが不思議な共振をしている。このアイキャッチ画像は、3時間超の映画のほとんど最後の部分にでてくる映像です。


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