福岡ユネスコ文化セミナー2013
1.企画意図
東日本大震災後既に2年半が経過しました。3.11を経験したことにより、未来のとらえ方が大きく変わらなければならないという声は大きくあがりました。しかし、なかなかその未来像が描ききれないままに時間が経過しているのが現実です。いま、私たちは時代の大きな転換期に生きているという認識のもとに、長期的な文明史的展望により、震災後の日本の変化や将来像について討論し、新しい価値観の方向性を探ることが必要と思われます。特に九州は直接的な震災の被害がなかったため、震災による生活の見直しが実感としてあまり感じられないという実情があり、一度このような問題を深く討議する場が必要であると考えます。
戦後の日本の社会制度が経済の成長、一定した人口の増加を前提に組み立てられていたために、失われた10年あるいは20年と呼ばれる経済的不況の継続と少子高齢化による生産年齢人口の減少という現状を目の前にして、今までの社会保障制度自体が見直しを迫られています。安心して現在を生きてゆけるような未来の社会像、幸福像が描けなくなってきています。そのことを最も深刻に実感させ、また危機を加速したのが、2011年3月11日に起きた震災でした。そして、震災以後の被災地の復旧や日本の再建像の構築が遅々として進まない現実が、将来に対する不安をさらに増大させています。
経済成長を前提としたこれまでの価値観は、環境問題や発展途上国での人口増加、食料やエネルギーの確保の問題など地球規模での見直しを迫られています。近代という時代が終わりかけているという予感の中で、新しい未来像の手がかりがはっきりしないために、いつの間にか日本においては、再び経済成長を求めるという、従来の価値観の延長線上に人々の関心は向かっています。果たして、現在の先に未来はあるのか。この問題を皆さんとともに検討します。
2.テーマ
「未来に可能性はあるか?―3.11以降の社会構想―」
3.内 容
(1)日 時:2013年11月16日(土) 10:30~17:00
(2)会 場:電気ビル共創館3階カンファレンス 大会議室
(福岡市中央区渡辺通2丁目、定員180人)
(3)構 成:10:30 開会
10:40~11:50 基調講演 講師:大澤真幸氏
昼食
13:00~ シンポジウム
13:00~14:45 シンポジストによる意見発表(各人35分)
①木村草太氏(首都大学東京都市教養学部准教授)
②中島岳志氏(北海道大学公共政策大学院・法学部准教授)
③小野善康氏(大阪大学社会経済研究所教授)
15:00~16:45 討議 議長:大澤真幸氏を
16:45 大澤真幸議長による総括
17:00 閉会