村上春樹の新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読みました。
一読して「これは『ノルウェイの森』のバリエーションではないか」と思いました。
主役は高校時代の親友たち、心を病んで死んでいった友、音楽(今回はリストの巡礼の年)によってありありと蘇る過去、過去を遡って真実と対面していくシーク&ファインド、死んでいったシロと生きているクロという対照的な女性二人、何もかもが二重写しになって見えてくる。違いといえば、シロとクロとの間に「サラ」という、いわば『羊を巡る冒険』に出てくるような媒介者の女の子が、導入だけでなく、最後まで役割を果たし続けるところ,しかも謎めいた50代の男がいることだろうか。でも、こうした種まきされた問題は最後まで解決されないから、基本的な物語構造においては、大きな違いは生み出されていない。続編では、ここに入っていくのかな。さて、リストの「巡礼の年」、ラザール・ベルマンのCDを思わずアマゾンで注文してしまいました。イギリスからの輸入だと新品3枚組で1282円だ(ただしデリバリーに半月以上かかるけど。・・・なんで日本国内で買うよりヨーロッパから取り寄せるほうが安いのかなぁ)。

追伸

今年も、ノーベル文学賞、残念でしたね。そろそろかと、思っていたのですが(2013/10/11)。


多崎つくる

ベルマン リスト巡礼の年

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