東京に出かけるたびに、時間をみつけて何か展覧会などに出かけることにしています。今回は、東京国立近代美術館フィルムセンターで開催中の「小津安二郎の図像学」に行ってみました。小津安二郎は「生誕110年、没後50年」だそうです。小津は、生前よりも死後のほうが評価が高い。しかも近年ますます神格化されてきていますね。この展覧会をみて、その理由の一端も分かるような気がしました。じつに丁寧に、じつに深く思いをこめて、しっかりと作られている。これはただごとではない。初老の男が娘を嫁に出す、というごくありふれた筋だての中に、家族以上の家族、絆以上の絆、残酷以上の残酷、つまり人生そのものがあらわれてくるように、深く作り込まれているのだ。ありふれた家族ドラマのように見えて、そうではない。かんたんに作られたように見えて、そうではない。それが見れば見るほど味わいや発見がでてくる理由であり、いつまでもいつまでも人を引きつける理由なのだろう、か。



http://www.momat.go.jp/FC/ozu2013/index.html


小津安二郎

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