1970年に初演され、その後の日本現代演劇シーンに影響を与えた早稲田小劇場「劇的なるものをめぐってII」。早稲田大学演劇博物館企画により、早稲田大学・大隈講堂で、その稽古を記録した映像の上映会があった。上映の前に演劇評論家・渡辺保の解説があり、上映の後に渡辺保と鈴木忠志の対談があった。
これは面白かったですね。「劇的なるものをめぐって」は名前だけ有名で、実際どんなものだったのか、まったく分からなかったので、稽古の風景とはいえじつに興味深かった。またこれは、鈴木忠志演出の要ともいえる白石加代子の代表作で、しかも、その後、鈴木忠志とは袂を分かったはずだから、その白石加代子を現在の鈴木忠志がどう評価しているかも含めてたいへん興味深かった。
たしかにこれはストーリーのある演劇ではなく劇的なるものをめぐってのコラージュ。演劇についての演劇、いわば演劇論なのですね。演劇による演劇論。とりわけ西洋由来の新劇に対抗する鈴木忠志の演劇論。「演劇論」が「演劇」以上に「劇的」なのは、じつに不思議でありながら、あの時代をじつに映し出しているのかもしれませんね。
「あの時代」とはつまり「革命」ではなくて「革命論」の時代……


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