タルコフスキーのノスタルジアへの旅
トゥスカニア編
ミシュランによると、トゥスカーニアは、ローマの自治都市であり中世には重要な中心地であったらしい。現在は、その城壁の廃墟と、町を少しはなれたところに二つの教会を残すのみである。
トゥスカニアは、まぎらわしいがトスカナ地方ではなく、ローマの近郊の小さな村である。どのくらい小さいかというと、町の門を入り、ホテルを探したが、一軒しかないというくらいの大きさである。しかしそのホテルはとても良かった。
トゥスカニアの入り口。中世都市のため、町の中にはふつうクルマでは入れない。
トゥスカニアは、ローマ時代の遺跡である。タルコフスキーが撮影したトゥスカニアの教会も、ひとつの廃墟であり、町から少しはなれたところにそれはあった。彼方に見えるのがそれである。町からトゥスカニアを望むと、この風景は、じっさいにはタルコフスキーの映画の中に出てくるかどうか、定かではないが、出てきてもおかしくないほどタルコフスキー的な風景であった。
タルコフスキーが撮影したのは、この建物の地下である。たしか、悲しみの聖母がかかっていて、女たちが祈るシーンだったと思う。印象的だったのは、小鳥たちがそこからわき上がってくるタルコフスキー的ショットである。
じっさいには、ここにはその絵はなく、以下のような寂しいところである。
私のほかに、数名の訪問客があった。その家族のなかに子どもたちがいた。