ドイツ最後の数日間をレンタカーしたのですが、狐にばかされたような不思議ないきさつで乗ることになった新車のベンツ(いきさつは以前のエントリーを参照)。どうしてなのか、いろいろ、考えてみた。
もっとも合理的に説明できそうな理屈は「ライプチヒに待機させておくより、より顧客の多いフランクフルトに運んでもらいたかったから」ではないだろうか。そのほうがレンタカー会社としても合理的なメリットがある。ライプチヒも発展中とはいえ、旧東独で、市場規模はフランクフルトの比ではないから。フランクフルトに、客に運んでいってもらって、そこでレンタカーとしてより稼働したほうが会社にとっても合理的ではないだろうか。
そういえば15年くらい前にも、カナダのカルガリーからエドモントンまで1週間くらいレンタカーをした時に、いちばん小さなクルマを予約してあるはずが、巨大なピックアップトラック(5リッターくらいある巨大な戦艦のようなやつ)に乗っていってくれ、と言われたことがあった。これには参りました。なにせ燃費が極悪(リッター2,3キロくらい)だし、巨大で取り回しが悪くて、まるで飛行機か宇宙船を運転しているようだった(背後から聞こえるゴオーッというエンジン音は飛行機にそっくり。とてもクルマとは思えない)。とうてい日本では運転しきれない代物ですが、カナダのロッキー山脈の中だと不思議にこすりもせず運転できた。あれも不思議な体験だったが、考えてみれば、レンタカー会社は、移動費とガソリン代を、私にもたせたことになる。なるほどなぁ。
バッハの町、ライプツィヒ
ドイツのバッハの町、ライプツィヒからです。
今年最高の暑さとかで36度だそうです。
ドイツの夏はひんやりしているときいていたのですが、きょうは、ちょっとものすごい暑さです。ひざしの強さも相当なもので、へとへとになってホテルにもどると、なんと、きょうは日曜日だから、レストランも休業で、何もないというのです。えええ。
おまけに東ドイツ(まだ濃厚に東ドイツなので)の日曜日は、もう、スーパーもなにもどんどん6時にしまってしまいます。ホテルのレストランまで日曜は休業ときて、まいってしまいますね。ひあがってしまいます。こまった。
近くをさまようと、こういう時こそ、異邦人たちががんばっています。あいていたのは、トルコ人の経営しているドナーケバブ屋さんです。そこで手作りのドナーケバブをテイクアウト。ヨーロッパで食べ物に困ったときには、アジア系か中東系かですね。ドイツ食より、むしろ、私たちには胃に優しい。
かつてバルセロナに1週間ほど滞在していたときも、安くてうまいので、ドナーケバブをしょっちゅう食べていたのを思い出しました。トルコの人たち、ヨーロッパの中でケバブでがんばっていますね。
きょうは、朝から、バッハがトーマスカントール(楽長)をつとめていたトーマス教会の朝のミサに出席。1時間半ほどのミサですが、えんえんと(まったく理解できないドイツ語で)説教がつづき、なるほど、このように毎週の日曜日に、バッハは、教会で、ミサと説教と音楽とが渾然一体となった生活をつづけていたのだと納得しました。バッハの音楽も、こういう教会の中の生活と切り離せないのですね。
でも、いやはや、みんな、まじめなクリスチャンばかりだと苦しくなりますね。ここライプチヒもキリスト教徒ばかりだったら、周囲が敬虔なルター派ばかりでも息がつまってきますね。バッハも、教会以外でも、コーヒーバウムという喫茶店まえで、公開コンサートをやっていたそうです。世俗曲のコーヒーカンタータがそれです。そ のコーヒー店ににもいってみました。
旧東ドイツも、体制崩壊後、ずいぶんと変化が進んでいますが、まだ変わりきらないところも濃厚に残っています。でも、バッハの頑固さとも似ている気がします。
バッハが音楽監督をつとめたトーマス教会
トーマス教会内のバッハの墓
ドレスデンからベルリンに
2012/08/15
朝早くドレースデンをたって、午前中にベルリーンに到着しました。
ここは、プラハやドレースデンと比べると、けたはずれの大都市です。
そして、旧東ドイツ地区は、どこもかしこも、大改造中。
すさまじい建築ラッシュ。
でも、どこか、なつかしい古びた町が、どんどん壊されていくようにも見えます。
今夜からのホテルは、旧東独地区の中心からはずれたところ。
地下鉄駅から5分くらいなのですが、周囲は、殺伐としていて、すべてがこわされ、殺伐としたなかでいろいろと建築中。
ちょっとこんなところに宿泊するんじゃなかったと後悔。
ホテルはモダーンなんだけれど、ホテルだけ。あと周囲には何もない。
こういう孤立した寂しさってのも、旧東独らしさなのだろうか。数年後には、もう味わえない殺伐感なのだろうか。
近くを歩いて、もよりの地下鉄駅までいっても、周囲は殺伐として何もない。
コンビニとか、そういう概念がない。昼からしーんとしてさびしいところ。
地下鉄にのって、アレクサンダープラッツ駅に買い出しにでかけなくては。
インフォメーション
安立清史(「超高齢社会研究所」代表、九州大学名誉教授)のホームページとブログです──新著『福祉の起原』(弦書房)が出版されました。これまで『超高齢社会の乗り越え方』、『21世紀の《想像の共同体》─ボランティアの原理 非営利の可能性』、『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房)、『福祉NPOの社会学』(東京大学出版会)などの著書があります。「超高齢社会研究所」代表をつとめています。https://aging-society.jp/ 参照
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