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毎日パソコンと弁当を持参して図書館に来ています。梅雨入りがおそいので、青空のもと、図書館近くの公園でピクニック・ランチをするのが楽しみです。いままで見たことがない瑠璃色の鳥(おそらくイソヒヨドリ)などもいます。思えば高校生の頃から勉強や宿題は自宅でなく図書館でやっていました。大学時代は総合図書館の大きなリーディングルームですごしました。大学教員になってからもそうで、個人研究室ではなく図書館で論文を書いていました。在外研究時にはアメリカの様々な大学図書館や公共図書館に魅了されました。http://adach.lolipop.jp/wp/?p=10893

これにくらべると日本の図書館はどうでしょうか。この5年間に私が書いた5冊の著作は、すべてここF市のS図書館で執筆したのですが、残念なことに、この図書館には一冊も入っておりません。悔しいなぁ。(写真はボストン公共図書館。公立図書館でないことに注意)


先日、福岡でたった一日だけの上映があったフレデリック・ランズマン監督の「ニューヨーク公共図書館─エクス・リブリス」を観た。びっくりするくらい多くの人が詰めかけていて、開演前から長蛇の列だった。ちょっとびっくり。
この図書館、ニューヨークの観光地にもなっている「世界で最も有名な図書館(のひとつ)」である。私も10年ほど前に訪れたことがある(ブログの「幻想図書館」参照。たくさんの館内写真を載せてあります。 http://adach.lolipop.jp/wp/?p=822)。
この映画、途中休憩もはいる3時間半の大作。しかもノーナレ、ノー解説である。そしていきなり、リチャード・ドーキンスである。その後、エルビス・コステロとか、パティ・スミスも登場する。しかし主役は、ニューヨーク公共図書館のスタッフたち。多様なスタッフが、図書館の運営や議会からの予算獲得、民間からの寄附獲得にどう取り組んでいるか。驚くべく密度とレベルの高い議論がされている。本当なんだろうか。映画の撮影があるから張り切っているのではないか、などと思うまもなく、話題やテーマは多岐にわたっていく。とくに図書館にやってくるホームレスとのつき合い方をどうすべきかの議論が興味深かった。私がボストンに暮らしていたとき、毎日のように、ボストン公共図書館に通っていた。そこには毎日やってくるホームレスもいた。毎日、やってきて、リーディングルームの、ほぼ同じ席に陣取って、一日いる。うとうとしている時もあるし、何か読んでいる時もある。近くをすれ違うと異臭がするのでホームレスと気づくのだが、どこか哲学者の風貌をもったホームレスである。さて、こういう人たちを、公共図書館のスタッフはどう対応しようとしているのだろう。映画では、問題提起だけされて、どう対応するか、どう対処するかまでは描かれていなかったのだが。図書館の公共性とホームレスのような人たちへの対応と、さぞ難しいことだろうなぁ。