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 春休みにオックスフォード大学を訪ねました。ハリー・ポッターに出てくる魔法学校のモデルとなったところです。新学期の始まる日本の大学とつい比較してしまいますね。見学しているうちに、なるほど、と気づいたことがありました。
 ホグワーツの魔法学校は全寮制です。そしていきなり圧倒されるのがこの荘厳な空間でのディナーでした。全校生徒が一堂に会して夕食をともにします。もちろん校長以下教師全員もです。そう、ポイントは「全寮制」と「非日常的な劇的空間」でした。
 じっさい、ケンブリッジ大学もオックスフォード大学も全寮制です。ハーバード大学も1年生は全員構内の寮に入ることになっています。その寮内が非日常的な劇的空間になっているところが映画の見所でしたね。つまり入寮することが自由を束縛されるネガティヴ体験ではなく、そこでこれまでに見たこともない劇的空間の中に暮らしてドラマを味わうというポジティヴ体験として経験されるのです。
 仲間や教師と寝食をともにして、その非日常的な劇的空間のなかでわくわくする経験を積み重ねて学び、成長していく・・・。もちろこれは映画のおとぎ話でありますが、じっさいの英国や米国のエリート校でも、基本構造はそうなっているのだろうと思います。大学生活が、高校までと違って、劇的体験なのですね。
 ひるがえって日本ではどうか。受験までの生活こそ非日常なドラマです。モーレツな受験勉強や予備校でのカリスマ教師の授業(いつやるの、いまでしょ)、そして受験・合格(あるいは不合格)という人生の一大イベントを経験します。受験前後こそ「劇的な非日常的体験」ですが、大学に入ったとたんに、平凡な「日常」がだらだらと始まってしまうのですね。よく言われる五月病などというのは、まさに劇的な興奮のあとの平凡な日常の連続に心が憂鬱になる心理のことをいっているのではないでしょうか。
 学生は入学時にモチベーションが最高潮で、あとは4年間下がりっぱなし、などと言われます。そこで、サークル活動やアルバイト等に熱心になってしまって、授業にはほとんど身を入れなくなってしまう学生たちを、ずいぶん見てきましたが、それには理由があったのですね。学生だってドキドキするドラマの中で学び、これまでと違う自分へと成長していきたいはずなのです。でも日本の現実の中ではそれがかなわない。そこでサークルやアルバイトという外の世界の中に違う「何か」を求めていってしまうのでしょう。
 かつては日本の旧制高校も全寮制でした。きっとホグワーツの魔法学校のようだったのだろうと思います。


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