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北九州市立美術館分館でヴラマンク展をみました。
一人の作品をその最初期から晩年までたどると、実にいろいろなことが見えてきて、興味深いですし、考えさせられます。ヴラマンク展もそうでした。ヴラマンクは、日本でとても人気があるそうです。とてもダークで陰鬱な空の色調。小さな村の道にあるのは泥で汚れたような雪。全体的に暗い色調なのに印象は暗くない。むしろ暗さの中に光が見えてくる、そういうところが日本人好みなのでしょうか。
「暗いのに暗くない」そんな印象を生み出すもうひとつの要因は、今回気づいたのですが、LEDライトでしょうか。かつては展覧会で強い光は当てられなかった。ところがLEDが出てからピンポイントで絵画に光りを当てるようになりました。それが今回、ヴラマンクの白を、とても印象的に浮かび上がらせる一因になっていたように思います。まるで蛍光色のようにヴラマンクの雪が輝いて浮かび上がって見えてくるのです。ちょっとやりすぎじゃないかと思うほど、色彩が生き生きとしています。照明によるチカラでしょうか。
もうひとつの感想は、ヴラマンクの特徴である小さな寒村の冬の雪で覆われた道という「これがヴラマンクだ」という特徴についてです。売れない時期、フォービズムやキュービズムやいろいろな手法を試したようです。でも当たらなかった。そしてついに見つけたのが「これがヴラマンクだ」という「雪におおわれた小さな田舎の村の道」というテーマですね。これがあったから絵も売れて画家として生きてこられたのでしょう。でも、まとめて見ると、同じパターンで延々制作しているな、という印象になってしまいます。たしかに、細かく見ると、ひとつひとつ違うし工夫しているのですが、全体として見ると「これがヴラマンクだ」というものを作った途端、何かが終焉したなという印象がぬぐえませんでした。むしろ初期の、フォービズムと格闘している時期のものに、生き生きとした精気を感じて好ましく思いました。


北九州市立美術館分館のホームページより