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文学部学生向けのオムニバス講義として話す機会があったので「銀河鉄道の夜」と「千と千尋の神隠し」との類似と相違についてのお話しをしました。思いっきり縮めていえば、宮澤賢治の銀河鉄道を、宮崎駿は相当意識して、あえて宇宙に飛び出さない、逆方向である地の中に入っていく、水の中に潜っていくという水中鉄道を設定したのではないか。この鉄道に乗ることの意味は何か。銀河鉄道でも水中鉄道でも、その乗客たちは死者なのはなぜか。その乗客の中に混じって旅する中で、ジョバンニも千尋も、何かをつかんだのではないか。何をつかんだのか。それは……という話をしました。
講義が終わったあと、話にくる学生がいて、「じつは、私、宮澤賢治の銀河鉄道、読んだことないんです」というのです。ええっ、まさか。しかも、その学生だけでなく、けっこうたくさんの学生が「千と千尋の神隠し」は見たことがあるが「銀河鉄道の夜」は知らない、ということが分かって、ちょっとショックでした。