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先日、福岡でたった一日だけの上映があったフレデリック・ランズマン監督の「ニューヨーク公共図書館─エクス・リブリス」を観た。びっくりするくらい多くの人が詰めかけていて、開演前から長蛇の列だった。ちょっとびっくり。
この図書館、ニューヨークの観光地にもなっている「世界で最も有名な図書館(のひとつ)」である。私も10年ほど前に訪れたことがある(ブログの「幻想図書館」参照。たくさんの館内写真を載せてあります。 http://adach.lolipop.jp/wp/?p=822)。
この映画、途中休憩もはいる3時間半の大作。しかもノーナレ、ノー解説である。そしていきなり、リチャード・ドーキンスである。その後、エルビス・コステロとか、パティ・スミスも登場する。しかし主役は、ニューヨーク公共図書館のスタッフたち。多様なスタッフが、図書館の運営や議会からの予算獲得、民間からの寄附獲得にどう取り組んでいるか。驚くべく密度とレベルの高い議論がされている。本当なんだろうか。映画の撮影があるから張り切っているのではないか、などと思うまもなく、話題やテーマは多岐にわたっていく。とくに図書館にやってくるホームレスとのつき合い方をどうすべきかの議論が興味深かった。私がボストンに暮らしていたとき、毎日のように、ボストン公共図書館に通っていた。そこには毎日やってくるホームレスもいた。毎日、やってきて、リーディングルームの、ほぼ同じ席に陣取って、一日いる。うとうとしている時もあるし、何か読んでいる時もある。近くをすれ違うと異臭がするのでホームレスと気づくのだが、どこか哲学者の風貌をもったホームレスである。さて、こういう人たちを、公共図書館のスタッフはどう対応しようとしているのだろう。映画では、問題提起だけされて、どう対応するか、どう対処するかまでは描かれていなかったのだが。図書館の公共性とホームレスのような人たちへの対応と、さぞ難しいことだろうなぁ。