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 昨年夏に、ほんの数日、滞在しただけなのですが、写真を見返すと、なぜか懐かしい感じが、もう漂ってきます。日本から遠く離れたイタリアのボローニャです。ここは、ヨーロッパでもっとも古い大学(ボローニャ大学)があるところです。今は懐かしの「羽仁五郎」が、この大学を猛烈に気に入っていたそうです。これまた今では知る人も少なくなった「林達夫」が晩年、何度かイタリアを旅行した時に同行した人のエッセイに、このことが書かれていました。林達夫は敬してボローニャをさけたようです。そして、村上春樹のイタリア滞在記『遠い太鼓』にもボローニャは出てきます。こじんまりしていて、とても買物がしやすいということと、名物のニョッキのことが書かれていたと思います。
 さて、ボローニャ。昨年、ミラノから特急電車にのって訪れました。かつて、イタリアの電車は、まず、まともに時刻表どおりに動くことはない、などと言われていました。いまや、ミラノからフィレンツェまでは、複数の競合する会社が運行していて、スピードの速さと時間の正確さサービスを競っています。時代は変わるのです。
 ボローニャは、夏のバカンスシーズンで、大学には人影はありませんでした。その代わり、中心部の広場で、夜の野外シネマが毎晩開催されていました。マルチェロ・マストロヤンニの粋な姿がポスター写真になっています。夕食後、行ってみました。広大な広場に、たいへんな観客が集まっています。これはまさに『ニュー・シネマ・パラダイス』の世界ですね。
 夏の夜の、天井のない野外の広場での、映画。はじめての経験でしたが、映画というものの、祝祭的な本質をかいま見た気がしました。映画が、閉じられた暗い空間のものであると同時に、広く開放的に多くの人に開かれたものであることを改めて感じさせるものでした。


夜のボローニャ中心部をそぞろ歩き。なんと、無印良品の店があった。

マルチェロ・マストロヤンニの粋な姿がポスター写真