Currently viewing the tag: "天井桟敷の人々、ジャン・ルイ・バロー"

新年あけましておめでとうございます。大晦日の夜、私は、紅白歌合戦の裏番組?として放映された──おそらくほとんど観た人はいないのではないかと思われる番組を観ていました。それは、なんと、放送大学の番組です。放送大学がBS231で放映しているのを観ている人はあまりいないと思いますが、その放送大学の、よりによって大晦日の晩に、私の大学時代からの友人の野崎歓先生が、フランス映画の歴史的名作「天井桟敷の人々」の解説者として登場されたのです。先日、2年ぶりの東京でお会いした時に、紅白歌合戦の裏番組に出演するから、とのことで録画していたのですが、紅白よりもきっと面白いと思って、オンタイムで全部見てしまいました。午後8時30分から深夜0時30分まで、野崎歓さんの2度の解説をはさんでなんと4時間の番組です。マルセル・カルネ監督の1945年の「天井桟敷の人々」──数十年前に一度観たことがありますが、ほとんどあらすじすらも覚えていませんでした。今回、あらためて見直してなかなか凄い映画だと思いました。前回はジャン・ルイ・バローが主役かと漠然と思っていましたが、全然そうでない。主役はギャランス(アルレッティ)さんでした(ガランスとギャランスと中間くらいに聞こえる)。くわえて、野崎歓さんの解説が秀逸!ヒロインのガランスは「フランス」である。そのフランスの理念「自由・平等・博愛」は「自由・平等・恋愛」と読み替えられて、ナチス占領下のフランスでレジスタンス映画として撮影されたのがこの映画だ、という驚きの展開。なるほど、こういう解釈は、そう解説されないと、絶対にそうは読み取れないでしょう。しかし、解説されると、なるほど、すとんと腑に落ちた──そういう驚きとともに新年が明けました。今年も、よろしくお願いいたします。