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大阪・中之島図書館
大阪に行く機会があったので、今なにかと話題の大阪市役所の真ん前にある「中之島図書館」に行ってみた。ここは素晴らしい図書館である。外観は威風堂々、内に入るとしっとりとして図書館らしい濃密な空気がある。ここに来るのは二度目だが、他にはなかなか場所だと思う。この図書館を、何かと話題の橋下大阪市長が「廃止」する方針だという。橋下市長は「あんなところに図書館を置く必要はない」として集客施設などに活用する意向なのだそうだ。やれやれ、じゃあいったい、図書館とはどんなところにおくものなのか。そのうち町の中心に学校なんか必要ない、として集客施設なんかにしていくつもりなのか。ここを見ていると、問題は図書館にかぎらない。文化とは何か、社会とは何か、私たちとは何か、という問題提起を突きつけられていると思った。


ハーバード大学の図書館システムは「書館システムは1530万冊の蔵書を持ち大学図書館として世界最大級の規模を誇る。


この規模は、米国議会図書館に次いで全米2位の蔵書数であり、世界では米国議会図書館、大英図書館フランスビブリオテーク・ナショナルに次いで4位となっている。図書館システムの中心にあるのは、ワイドナー記念図書館で あり、その他、90個あまりの図書館を有する。 例えば、多数の日本語書籍を所蔵するイェンチン図書館やカウントウェイ医学図書館などがある。」(ウィキペディア)とある。ワイドナーは、美しい図書館だ が、内部撮影禁止のため、写真がない。ここでは、お世話になったイェンチン図書館をご紹介する。


ハーバード大学燕京(イェンチン)図書館


燕京とは、北京の古名


入り口から中へ。向かって左が図書館。




ハーバード大学を漢字にすると……


図書館のうらには、このような気持ちのよいバックヤードがあって、ランチのサンドイッチなどを爽やかな風とともに食べるのが楽しみだった。


ハーバード大学の外国語クラスの非常勤講師のための建物。 何人もの日本人が、ハーバード大学で日本語を教えている。

これは2005年初夏のある晩のブルックライン公共図書館です。



ブルックラインは、ボストンに隣接する小さな「市」です。 ボストン在住の日本人の多くがここに住んでいることでも知られていますが、ほかにユダヤ系やロシア系の人たちが多いことでも有名です。ブルックラインの歴 史をみると、ボストンからいかに「独立」を守ってきたか、と誇らしげに書かれています。ここもまた300年の歴史を誇っています。ここにも公共図書館があ り、この図書館も「パブリック・ライブラリ」です。 ここが特別すぐれている、というわけではないかもしれませんが、日本の「市立図書館」とは、まったく異なったものだと言えるでしょう。日本は世界に冠たる 「公共事業」国家だそうです。図書館こそ、まさに「公共事業」でしか出来ないものなのですが、日本には、はたしてこのような公共事業らしい公共事業が、ど れほどあるでしょうか。


ある初夏のブルックライン公共図書館


小さいがこれぞ図書館という風情がある。


こんな小さな図書館も夜9時まで開館しているのだ。


天井が高いことが、やはり独特の空間を生み出している。



豪華ではないが華がある。華美ではないが重厚さがある。こうした空間を持つことのできる人たちの誇りが感じられる。


ブルックライン出身の作家たちの蔵書があるブルックライン・ルーム。


私のお気に入りは、この机でした。


歴史と風格。そして誇りとアイデンティティ。


懐かしい情景。ところで、図書館こそ「公共事業」です。個人にも、市場にも作れないものです。日本の「公共事業」は、どうしてこうしたものを作れないのでしょうか。

これは2005年初夏のある晩のボストン公共図書館です。


この 図書館は「パブリック・ライブラリ」です。公共図書館ですが、行政が主導して造ったも のではありません。市民による自発的な発意で造られ、市民が資金を拠出し、そして市民のための図書館として運営されています。だからこそここに 「Public Library」という名前が冠せられたのです。訪ねると分かるとおり、ここは驚異の空間なのです。たとえば日本ではひっくりかえってもこういう空間を市 民が作ることはあり得ないだろう、と絶望的に思ってしまうような空間なのです。そういう意味で、歴史と文化と、それを造る人間について思いをはせるための 空間でもあります。朝は9時から夜は9時まで年中無休で開館しています(但し、土日は時間短縮。また夏期は日曜閉館)。私はここがどうしようもなく気に 入って毎日通いました。そして、そこに不思議な図書館マニアが多数生息していることを知りました(その一部についてはブログにも書いたことがあります)。 しかし、よほどの図書館マニアでも毎日、朝から夜までいることはありえません。私もだいたい朝に入館し、夕方には帰宅していました。しかし何回か必要に迫 れられて、あるいは気分が高揚して夜の閉館時まで図書館にいたことがあります。その時、「夜の図書館」というのは、昼間の図書館とは違った別の顔をもって いて、不思議に神秘的なことを知りました。その神秘さを、少しでもご紹介したいと思います。写真を見ていただくと分かるとおり、日本の図書館にはない、き わめて幻想的な空間です。うまく表現できる言葉がないので、とりあえず「きわめて西洋的な空間」と仮説しておきましょう。空間構成、そこに漂う宗教性、そ れを造ってきた歴史。そして、ここで求められている知は、たんなる世俗的な知(だけ)ではなくて、世俗を超越した世界を求めているのだ、と感じさせてくれ ます。われわれは、こうした空間の中で、時空を超えて、人類の歴史や、その精神性につながることが出来る。大げさに言えば…。そこには、おそらく中世から の僧院の図書室の伝統が、近代の図書館のひとつの源流になっているのではなでしょうか。そういうことを、この空間は、考えさせてくれます。さて、みなさん は、いかがお感じになるでしょうか。


ボストン公共図書館の正面玄関。ボストンの中心、コプレー広場に面している。左右に女神の像。

入り口から入ると、そこは中世の僧院の階段のようだ。

階段から入り口を見る。なんという空間だろう

中央階段の踊り場から。ちょっと日本にはありえない空間。夢の空間。 2階にあがると、これが巨大なリーディングルーム。日本のどの大学の図書館がこれに匹敵できるだろうか。 不思議な灯りが灯っている。幻想的だ。 ボールルームのような幻想的な広間。スペシャル・レクチャーなどが行われる。 夜の中庭。昼は多くの人がここでサンドイッチなどをほおばる。 列柱がヨーロッパの中世の僧院のようだ。 閉館時間になって外にでると、そこはコプレー広場なのだ。まさしくボストンの夜。

これは2004年初夏にニューヨークを訪ねた時の写真です。


このニューヨーク公共図書館も、初めて訪れた時には度肝を抜かれた。こんなすばらしい図 書館が、ニューヨークの町のど真ん中にあって、旅人にも誰にもでもオープンに開かれている(実際、ノートパソコンを持参すると、登録したりidをもらった りすることもなく、いきなりインターネットに接続できて、日本へとメールできたりする。ボストン公共図書館でも出来るのだが、居住者証明をもっていって id とパスワードをもらう必要があった)。現在のアメリカでは、大学の図書館は、インターネットのセキュリティがやかましくなっているので、旅人としてみる と、大学図書館は、たいへんに使い勝手が悪い。そのてん、公共図書館は、サンフランシスコにせよ、ボストンにせよ、そしてこのニューヨークにせよ、抜群で ある。そして図書館が、独自に、いろいろ検討したうえで、主体的に「図書館がネットワークへの接続環境を提供する」ことを決したことも特筆されよう。日本 の図書館が、独自に、このようなことを決断できるだろうか。 『サーカスが来た』で有名な亀井 俊介氏の『ニューヨーク』(岩波新書)にも、たしか、ニューヨークにきて、このニューヨーク公共図書館に飛び込んで、ニューヨーク・タイムズだったかでア パート探しをした経験が述べられていた。昔から、この図書館は、外からやって来た人にも開かれている「驚異の図書館」だったのだ。 ニューヨーク公共図書館については『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― 』 菅谷 明子 (著) 岩波新書、にも詳しく述べられているが、まずは実際に訪れるとどんなものなのか。じっくりみて下さい。


正面入り口。タイムズ・スクエアや、クライスラービルディングからも、ほど近い。ニューヨークの中心部にある。観光ルートにも入っている図書館なのだ。

 

ビルの入り口のライオンは、じつは図書館が起源なのか。

入り口階段は、ボストン公共図書館のほうが良い⁉

シャンデリアはボストン公共図書館にそっくりだ。この当時の流行なのか。

リーディングルームがいくつかある 。

この熱気には圧倒される。日本の図書館で、平日で、こんなに満員なところが、はたしてあるだろうか。

貴重書のあるところは、やはりニューヨークならでは。

 

天井画をみているだけで楽しい。

図書館というより美術館

壮観です

ボストン公共図書館と比べると、ニューヨーク公共図書館は、ダイナミックに現代化を進めている印象がある。そして、ゆっくりと研究している人より、攻撃的に現在を生きている人が多いような印象(あくまでも個人的な印象)をもった。

ニューヨークらしい風景だと思う。アメリカに暮らして、戸外で本を読むことの爽快さをしった(日本のように蚊がぶんぶんだとちょっと無理だ)。 ボストン公共図書館にも、素敵なレストランがあった。図書館に通う時期には、なかなかこういうレストランでゆっくりというわけにもいかないのだが。 ガートルード・スタインの銅像。