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黒澤明の「醜聞(スキャンダル)」(1950)を何十年ぶりかで再見しました(福岡市総合図書館シネラ)。驚きました。ほとんど何も覚えていなかった自分に。そして黒澤明の若かりし頃の率直な正義感に。さらに意外だったのは、これが黒澤明の「生きる」(1962)にそっくりだったこと。主役は三船敏郎でも山口淑子(李香蘭)でもなく、志村喬演じる弁護士の転落のドラマでした。これは、ほとんど「生きる」そのものではないですか。この映画が「生きる」ほど有名でないのは、やや図式的すぎてリアリティのないこと、後半のどんでん返しの余韻の深めがないまま、青臭く終わるからでしょうか。黒澤明も失敗したと思ったのかもしれません。「生きる」ではこの映画を反省しながら反復して、今度は大成功したのかもしれません。