Currently viewing the tag: "鈴木清順、暗黒街の美女、ノワール映画"

鈴木清順名で初めて監督した作品「暗黒街の美女」(1958)を観た。60年も前の映画だが、いまだ古びない現代性を感じるノワール映画だ。これなら清順監督の復活作「悲愁物語」や遺作の「オペレッタ狸御殿」よりも、ずっと映画のできとしては良いじゃないか。
でも、スピーディーに話がすすんで、どでんがえし、危機一髪、さらに逆転でハッピーエンドという映画は、見終わったあとで、すーっと流れ去っていくような気がする。できは良いけれど、ひっかかるもの、残るものがないような物足りなさがありますね。その点、「悲愁物語」や「オペレッタ狸御殿」などは、やっぱりすごいのかもしれない。駄作だ失敗作だとは分かっていても、でも、何か論じたくなるものを、これらの映画は持っている。なんでこんな作品になってしまったのか、解明してみたいとげのようなものを感じるのですね。映画の中に収まりきれない過剰なものがあるんですね。過不足なくすっきりした成功作は、そこが、ちょっと物足りない。不思議なものです。