ロンドンでは、Dean街28番地を訪ねました。カール・マルクスが住んでいたところです。マルクスはここから大英博物館に通って『資本論』を執筆していたはずです。
宮本百合子の「カール・マルクスとその夫人」にはこうあります。
「カールは朝九時から夕方七時まで大英博物館の図書館で仕事をした。エンゲルスの援助と、ニューヨーク・トリビューン紙から送られる一回僅か五ドルの原稿料が生活の資であった。」
「ロンドンの生活でパンと馬鈴薯の食事は家族の健康を衰えさせるばかりであった。イエニーは病気になった。カールは図書館へ新聞をよみに行く金のない時さえあった。その時は、トリビューン紙への論文も、書けない。「どうしよう?……」。
「カールは物価の安いジェネバへ引越そうかと思った。しかし彼のとりかかっている「資本論」は大英博物館の図書館なしには完成しない。或る時はイギリスの鉄道局書記になろうとした。これはカールの字体が分りにくいために採用されなかった。」
「ロンドンのディーン街の庭もない二間暮しの生活は、このように困難だった。が、マルクス夫妻の不屈な生活力と機智とは、この生活のなかから汲みとられるだけのよろこびをくみあげた。」


・・・ここがまさにマルクス一家の暮らした「ロンドンのディーン街の庭もない二間暮しの生活」の家です。いまは一階は「Quo Vadis Restaurant」というこじゃれた食堂になっていますが、そのすぐとなりはいかがわしい(?)キャバレーで、ロンドンの場末という雰囲気が濃厚に漂っています。あまり安全そうなところではない感じでした。
このレストランの2階、ブルー・プレートのあるところが、マルクスが住んだ部屋です。


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