








「超高齢社会研究所」のサイトは1月末で閉鎖する予定です
noteに「宅老所よりあい」における『介護のドラマツルギー』を投稿しました
明けまして、おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
『介護のドラマツルギー』について、この本のエッセンスがどこにあるか、note というウェブに詳しく書きました。ご覧いただければ幸いです。
https://note.com/kiyoshi_adachi/n/n8a34332d8523?app_launch=false
昨年出版した『介護のドラマツルギー』について、今月の「クレヨンハウス通信」(2月号)で紹介される予定です。
また、読売新聞社(文化部東京本社)からの取材も予定されています。
熱中小学校10周年
「熱中小学校10周年記念誌」が送られてきました。私は「紀州くちくまの熱中小学校」と「宮崎こばやし熱中小学校」と2度ほど講師をつとめた経験があります。紀州の学校は、小さな学校でしたが、「銀河鉄道の夜」の冒頭の「午后の授業」をおもわせるじつにいい雰囲気の学校でした。参加者もみな熱心。こういうのが学校の起原そのものですね。講師をつとめた翌日は、熊野古道をすこし歩いたり、熊野本宮大社にご案内いただいたり、事務局の方にはたいへんお世話になりました。先日は「南高梅」の梅干しまで送っていただきましたが、この梅は、まさに地元の南部高校から育てられていったそうです。
「紀州くちくまの熱中小学校」https://necchu-kuchikumano.com
ドラマツルギーとは何か(『介護のドラマツルギー』解説)
ドラマツルギーとは何か(『介護のドラマツルギー』解説)を、note に書きました。
https://note.com/kiyoshi_adachi/n/n444144c94f2c?app_launch=false
すでに「ケア論」というカテゴリーや分野ができているようだ。しかしケア論は、ケアについての論の論つまり「ケア論・論」になりがちだ。
本書は、こうした流れに乗ったものではない。福岡の「宅老所よりあい」という小さな認知症介護の現場で起こった事例(だけ)を語った『シンクロと自由』などの村瀨孝生の著作をもとに、そこで起こっていることが、私たちにとって、どのような意味を持つものなのか、ケアや介護という枠組みにとらわれず、自由に発想を広げて考えてみたものだ。ケア実践をぬきにしたケア論や介護論はありえないだろうが、逆にわれわれが試み考えたように「ことば」をぬきにしたケアや介護もありえないはずだからだ。(写真は12月20日の村瀨孝生さんと安立清史のブックトークから)
日本農業新聞が『介護のドラマツルギー』を紹介してくれました
『介護のドラマツルギー』のブックトークを行いました
村瀨孝生さんと『介護のドラマツルギー』のブックトークを行います。
三好春樹さんを読む(その3) 「Nさんのロシア行き」
三好春樹さんを読む(3) 「Nさんのロシア行き」
1
心理学と社会学とは、近いようで遠い。看護と介護もそうかもしれない。社会学の中でも、個人から始めるのと社会から始めるのとで、方法的個人主義と方法的全体主義という対立がある。そんな中で一見すると中間あるいは折衷のように見えるのがマックス・ヴェーバーの「理解社会学」だ。当事者が行為にこめた意味を「理解」することが必要だ、というのだ。でもこの「理解」がよく分からなかった。それが、三好春樹さんの本で「Nさんのロシア行き」のエピソードを読んだとき、はっと気づいた。このことではないか、と。調べてみると三好さんは1984年の『看護学雑誌』に「Nさんにとっての〈ロシア〉—隠喩としての老人の言動」という論考を発表している。もう40年も前のことだ。当時、認知症高齢者の行動の意味をまともに受け止めて考えようとする人などいなかったのではないか。
2
このエピソードは多くのことを考えさせる。認知症の初期に「家に帰ります」といって施設やデイケアから抜け出していく高齢者たちは数多い。施設の側は脱出して「徘徊」する人たちは、見当職を失って混乱している(だけ)と考えたに違いない。むかしながらの老人病院を見学した時のこと──病院には「徘徊」のための長い回廊が設けてあった。まるでハツカネズミの飼育ケージのように。行動だけみて、「徘徊」に内的意味世界があるなどと考え付きもしなかったのだろう。
3
Nさんのロシア行きは、看護とは違う「老人介護」を、三好春樹さんが「発見」した最初期の記録ではないかと思う。三好さんの開拓した「徘徊に出ていく老人を止めるのではなく、いっしょに歩いてついていく」という方法は、いま考えてもラディカルだ。可能なのに不可能と思えてしまうこの方法。だからコペルニクス的な転回を思わせる。専門職はその専門性ゆえ、誰もやってみようと思わなかったのかもしれない。しかし福岡の「宅老所よりあい」では地道に実践されてきた。村瀨孝生さんの著作の中にも、どこまでもいっしょに歩いて行って途方にくれるエピソードが、たびたび登場する。なかでも「ヨシオさん」のエピソードは突出している。自宅では新聞を逆さまに読んでいる。「徘徊」についていくと、書店に入って本を逆さまに並べなおす。さらに驚くのは、蕎麦屋にはいったあと、その厨房の奥にまでずんずん入っていって裏口から出ていくというのだ。「よりあい」の職員や村瀬さんたちを翻弄し疲労困憊させたうえ、見失ってあたふたする村瀬さんがようやく見つけて安堵の気持ちでハグしようとすると、するりとよけて、先を急ぎます、とさらに歩いていく。こうしたエピソードを読むと、抱腹絶倒したあとで、社会学の考えている「社会」などするりと抜け出て、「この社会の枠組みを突破する人」を見たような気がする。頭で考えたラディカルさではなく、身体から滲みでるラディカルさである。まるで、その先に《もうひとつの社会》があると行動で表現しているようだ。この人たちからは「社会」という概念や束縛が消えうせている。意図しない自由でアナーキーな姿が浮かび上がる。三好春樹さんは全共闘世代の人だから、全共闘世代が意識でやっていたことを、Nさんは身体でやっているように見えたのかもしれない。
*三好春樹、2009、『認知症論集─介護現場の深みから』、雲母書房
三好春樹さんを読む(その2)
インフォメーション
安立清史(「超高齢社会研究所」代表、九州大学名誉教授)のホームページとブログです──新著『福祉の起原』(弦書房)が出版されました。これまで『超高齢社会の乗り越え方』、『21世紀の《想像の共同体》─ボランティアの原理 非営利の可能性』、『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房)、『福祉NPOの社会学』(東京大学出版会)などの著書があります。「超高齢社会研究所」代表をつとめています。https://aging-society.jp/ 参照

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