福岡市の中村学園大学の後学期に、週に一度「社会福祉とボランティア」という授業をすることになりました。ひさしぶりの大教室の授業、はじめての学生たち、はじめてのテーマです。120名くらいの受講生がいました。私の『ボランティアと有償ボランティア』を教科書に使うのですが、第1回ということで映画「千と千尋の神隠し」が、いかにボランティアの理解に役立つか、というお話しをしました。


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9月は福岡市のシネラで「三國連太郎特集」をやっています。そこで三國連太郎が主演した「記者ありき─六鼓・菊竹淳」というドキュメンタリードラマを観ました。監督・木村栄文の才、三國連太郎の快演、そして舞台が「福岡日々新聞」いまの西日本新聞ではありませんか。旧社屋が壊されて今の新社屋に建て変わっていく映像や、元記者の玉川孝道さんや山本巌さんなど見知った方々の座談会なども挿入されていてじつに面白かったですね。そういえば私が九州大学文学部に在職中、菊竹淳一先生が文学部長をされましたが、ご親族だったのではないかと思います。


ちょっと見逃していたのですが、2023年7月15日づけ、 西日本新聞朝刊の読書欄に、私の新著『福祉の起原』(弦書房)が紹介されていました。
●『福祉の起原』 安立清史著
福祉の歴史は戦争や疫病のそれと軌を一にしている。人間の絆が不条理や悲劇に繰り返し分断される一方で、未来への起点となる「新たな〝福祉の起原〟が生まれ直す」と著者は考える。福祉の語源や定義をあらためて問い直しつつ、宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」やスタジオジブリのアニメ映画「風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」などの物語から福祉の未来像を探る刺激的な一冊。著者は九州大大学院教授。専門は福祉社会学で『ボランティアと有償ボランティア』などの著書で知られる。 (弦書房・2145円)


今年3月の私の最終講義を聴いてくれた卒業生の方から素敵な提案があって、この夏に「社会学、出会い直しの会」という小さな会を持ちました。うれしい再会でした。ジャーナリストとして活躍しているる益田美樹さんが書いてくれた記事の一部をご紹介いたします。


『福祉社会学研究』(Vol.20)で、法政大学教授の佐藤恵さんが、私の著書『21世紀の《想像の共同体》─ボランティアの原理 非営利の可能性』(弦書房)を書評して下さっています。詳細に内容を紹介してくださったうえで、何点か批判やご意見もいただいています。ありがたいことです。


市民協ミーティング2023 in 佐賀
ミーティングタイトル 市民協会員と共同代表で介護福祉の未来を語る。
日程 2023年8月7日(月)、8日(火)、9日(水)
会場 佐賀市市民活動プラザ
〒840-0826 佐賀市白山2-1-12佐賀商工ビル7階・大会議室
主催 認定NPO法人市民福祉団体全国協議会
共催 市民協九州支部佐賀
協力 佐賀県地域共生ステーション連絡会
佐賀未来創造基金、他
後援 こくみん共済coop(全国労働者共済生活協同組合連合会)

テーマ1は、宅老所の未来を考える。
パネラーには地元で活躍する方々が登壇します。
・佐賀県地域共生ステーション連絡会・江口陽介
・佐賀未来創造基金・山田健一郎

テーマ2は、有償ボランティアを考える。
パネラーには上記にパネラーに加え、
令和2年度厚生労働省老人保健事業を行った
・超高齢社会研究所 代表・安立清史(九州大学名誉教授)
が登壇します。


福岡市博物館で開催中の「鈴木敏夫とジブリ展」に行ってきました。小学校などの夏休みが始まる前にと思っていたのですがすでに相当混雑していました。ひとつひとつ見ていくと相当マニアックな展示なのに外国人も含めて多くの若者たちが熱心に見ています。展示されているものも不思議なのですが、断捨離ブームの現代、いったい誰がどうやってこんな昔の資料を保存していたかと驚いてしまいます。文化人類学者の梅棹忠夫も家族が幼年期からの彼の作品をたんねんに保存していたらしいですが、あれは家族あってのこと。鈴木敏夫さんは、ご家族なのかご自分なのか、あるいは両方なのか。それにしても、ありえないような資料の数々でした。


福祉社会学会の機関誌『福祉社会学研究』№20が発刊されました。安立清史の著書『21世紀の《想像の共同体》─ボランティアの原理 非営利の可能性』(弦書房、2021)への書評(佐藤恵さん)と、桜井政成さんの『福祉NPO ・社会的企業の経済社会学』(明石書店)への安立清史の書評が、ともに掲載されています。


先週、祇園祭りのはじまる盛夏の京都・同志社大学で「福祉社会学会」大会がありました。御所の北、冷泉家を囲むように旧薩摩藩邸あとにたつ同志社大学での福祉社会学会設立20周年のシンポジウムでした。この20年、あっというまでした。「社会福祉学」ではない「福祉社会学」を確立しようとされた初代会長の副田義也先生を偲ぶシンポジウムでは、私もいくつか発言させていただきました。


日本生命済生会発行の『地域福祉研究』2023最新号に、大阪ボランティア協会理事長の早瀬昇さんによる安立清史の前著『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房)の書評が掲載されました。この著書は、早瀬昇さん、堀田力さん、田中尚輝さんのボランティア論を受けて、その先をどう考えるかという問題提起として著したものですから、このように書評で反応いただけるのはありがたいことです。


メディア総合研究所の発行する『放送レポート』№303号に連載されている神保太郎さんの「メディア批評」(第181回)の中で、私の著書『福祉の起原』の一節「戦うことと戦う」が紹介されています。うれしいことです。「失われたジャーナリストの言葉を求めて」というこの論説は、スベトラーナ・アレクシェービッチ氏らの言葉を紹介しながら、ほかにも「戦うことと戦う」人びとがいることを伝えています。
http://www.mediasoken.org/broadcast_report/view.php?id=177&title_p=


福岡市のブックスキューブリック箱崎店の2階のカフェで、「宅老所よりあい」の村瀬孝生さんと私の新著『福祉の起原』をめぐってブックトークを行いました(6/9)。20数名の方々にご参加いただき、2時間弱の楽しい対談となりました。オンラインでは東京の友人たちや、とおく台湾にいる元留学生なども聴いてくれたようで、さっそくいろいろな感想をいただきました。ありがたいことです。


なんだか不思議なシンクロですね。明後日、6月9日から福岡市博物館で「鈴木敏夫とジブリ展」がスタートするようです。この日は、私と「宅老所よりあい」の村瀬孝生さんとのブックトークの日なのですが、私の新著『福祉の起原』はまさにジブリの「千と千尋の神隠し」を導きの糸として始まる本なのです。そしてお相手の村瀬さんの本は『シンクロと自由』です。不思議ですね、シンクロを感じます。
http://bookskubrick.jp/event/6-9 (ブックスキューブリックでのブックトーク)


ブックスキューブリックでのブックトークの詳細が決まりました。http://bookskubrick.jp/event/6-9
『福祉の起原』発売記念 安立清史×村瀬孝生トークセッション
日 時:2023年6月9日(金)19時スタート(18時30分開場)
会 場:カフェ&ギャラリー・キューブリック
   (福岡市東区箱崎1-5-14ブックスキューブリック箱崎店2F・
    JR箱崎駅西口から博多駅方面に徒歩1分)
出 演:安立清史、村瀨孝生
参加費(要予約):税込2,500円(1ドリンク付)

※オンライン配信も行います。
※終演後「サイン会」を開催いたします。
※終演後に同会場で懇親会あり(参加費2000円・軽食と1ドリンク付・要予約)
※参加費は当日受付にてお支払いをお願いします。

▼会場参加ご予約はこちら(税込2,500円・1ドリンク付き)
①Googleフォーム
 https://forms.gle/4ywGwMXu8kMsMErH7
②Peatix
 https://peatix.com/event/3586223/view


日本社会学会の機関誌『社会学評論』(Vol.73 No.4)に、安立清史著『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房, 2022)の書評が掲載されました。書評者は上智大学総合人間科学部の藤村正之教授で、見事に論点を紹介・整理していただいたうえで、さらにその先の課題まで好意的に論じられています。この本、これまであまり評判にならなかったのですが、今回の書評で大いに励まされました。


東京大学駒場キャンパスで開催されたシンポジウム「見田宗介/真木悠介を継承する」に参加してきました。午前10時から午後6時半まで、なんと延々8時間半にもわたるシンポジウムでした。多くの方々が最後まで残って熱心に聴いておられました。発表内容については──いろいろな評価や意見があるでしょう。でも、これだけの人びとに、これだけの影響を与えた人だったのです。亡くなったあとのほうが、かえって読み返され、影響が深まったかもしれませんね。


UCLAのスティーブン・ウォーレス教授の逝去
30年程まえ、国際交流基金日米センターのフェローとしてUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に留学しました。形としては「留学」ではなく「在外研究」なのですが、アメリカで生活するのは初めてでしたし、英語も不得意だったので、実質は初めての「留学」でした。UCLAの大学院の授業にも出ました。いちばん印象に残っているのが、Steven P. Wallace 教授のジェロントロジーの授業でした。若々しく学生に親切で人気がありました。たしか「ベスト教師オブ・ザ・イヤー」みたいなのにも選ばれていたと思います。授業は大量の文献の予習が「コース・アサインメント」として課されていて、なるほどこれがアメリカ流なのだと思いました。こちらは英語も内容も初心者ですから、オーディットさせていただく形でしたが、渋沢栄一のお孫さんにあたる渋沢田鶴子さんなどはバリバリの院生として勉強されていました。ウォーレス教授は、自宅でホームパーティ開いて院生や留学生を招いたり、クルマでなく自転車で通勤したり、いろいろと印象に残っています。私が帰国後も交流はつづきました。ジェロントロジー学会が返還前の香港で開催された時に、いっしょに香港の夜店を見てまわったり、いろいろな思い出があります。クリスマス状のやりとりは続いていました。それが数年前から途絶えました。今回、アメリカの友人たちに、私が九州大学を退職することを連絡していたら、彼へのメールが行く先不明で戻ってきました。おかしいなと調べてみたら、UCLAのホームページに、彼の逝去の告知がでていました。2021年に亡くなっていたのです。ショックでした。彼は私と同年生まれだったのです。