2019年は加藤典洋さんが亡くなられた年でもあった。
年末に、遺著というか、おそらく最後の本だろう『大きな字で書くこと』(岩波書店)が出たので、それを読んでいる。
これは、なんという本であろうか。潜在的に、自分の死を予感しながら書いていたのではないだろうか。どれも心にしみるエピソードが、短く、印象的に記されている。
加藤典洋さんには、福岡で、一度だけ、ご一緒したことがある。授業に打ち込んで、打ち込みすぎて、片方の耳が聞こえなくなった、ということをさらりと語られていた。
そういえば『言語表現法講義』は、まさに教室での真剣勝負のやりとりだった。その他に、『さようなら、ゴジラたち』も授業でのヒントに使わせてもらっている。ずいぶんと学恩をいただいていたのだ。


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