From the monthly archives: "2月 2020"

昨年秋にNHK・BSで放映された「深読み音楽会・井上陽水」を観ました。
これは抜群に面白かった。読解がとてもスリリングだ。出演者みんなが突出した見解を披露。
まずは、小説家の朝吹真理子が「帰れない二人」や「リバーサイド・ホテル」の歌詞を「これは、心中しようとしている二人の歌ではないか」と「深読み」。ええーっ、あのほのぼのとリリカルな「帰れない二人」が? しかし、言われると、なるほど、ひとつひとつ符号してしまうところが面白い。リバーサイドホテルの、あの変な「ドアは金属のメタルで」という歌詞も、こっちの世界では金属だが、あっちの世界ではメタルなのだ、とへんなところで納得。
さらに高橋源一郎が「氷の世界」を、この世からあの世に渡る三途の川の途中にいる歌詞だ、などとこれまた「氷の世界」を「死の世界」への道行きと解釈したりして──うーん。なるほど、陽水のシュールなところは、この世とあの世とが混じり合った汽水域のようなところに発するものだったのか、と妙に納得した。


夕方、羽田空港を飛び立つと、すぐに富士山が間近に迫ってきます。冬の晴れた日はことにきれいです。昨日は、雪をかぶった富士山が見事でした。


シネラでリーフェンシュタールの「美の祭典」(1936年のベルリン五輪)を観ました。びっくりでした。女性が出てこない「美」の祭典なのです。(マスゲーム等には出てくるけれど競技シーンには出てきません)。調べてみると、近代五輪をつくったクーベルタン男爵は、女性が五輪に参加することに否定的だったんですね。そしてこれを女性のレニ・リーフェンシュタールが撮ったというのも不思議です。
そうだ、沢木耕太郎の『オリンピア』を読み返してみよう。あれには、たしか、ギリシアの第1回オリンピアが開かれたオリンピアの競技場あとを訪問していると、おなじく訪れていた観光客にレースを挑まれて、沢木耕太郎が全力疾走する話が出てきたはずだ。