大学入試センター試験
「大学入試センター試験」が終わった。私はぎりぎりで「共通一次試験」の経験のない世代だ。あの頃は、国立大学に一期校・二期校なんて区別もあった。センター試験がなかったから、自分が全国のどのあたりかなど分かるはずもない。知らぬが仏。これは今考えても、知ったほうが良かったとは、とうてい思えない。さてこういう全国試験を30年ほどやった結果を、みなさん、どう評価されておられるのだろう。「やって良かった」と評価する人たちは、どんな人たちなんだろう。受験産業の方々だろうか。大学の旧教養部で毎年、試験問題づくりに汗を流しておられた方々かもしれない。やってみると分かるが、試験問題というのは、作るのも大変、採点するのも大変なのだ。その結果、入ってくる学生のことなんか、おそらく考えるひまもないくらい忙しかったのではないか。
そろそろ、ペーパーテストの入学試験のために全力集中、というあり方から、人間を多面的・多角的に評価・判断する入学試験へ、という切り替えが必要な時期に入っていると思う(とうの昔からの課題だとは思うが)。
イラク人質事件を思い出す
イラク人質事件を思い出す
年明けから、いきなりフランス軍がアフリカのマリに攻め込んだ。フランスのTV「F2」はその話題で持ちきりだ。フランスはこんなにも軍事大国だったのだ。そこへ隣国アルジェリアでのプラント襲撃と人質事件だ。
反射的に思い出したのが1990年に起きた湾岸戦争直前のイラク(フセイン政権)で起こった国際的な人質事件。これには親しい友人の弟まで巻き込まれて人質になったのだ。遠い世界のことかと思っていたら・・・。
もうあれから20年以上がたつ。
今回のマリへの軍事介入を見ていると、基本的には「湾岸戦争」の時の構図とそっくりそのままだ。欧米の多国籍軍が、高性能機で上空からピンポイント爆撃をして、あらかた壊滅させたあとで地上軍が進軍していくという・・・。
思えば「冷戦」終結後はイスラム原理主義との「熱戦」の時代になってしまったのか。
入試、卒業、送別シーズンと「定年制度」
入試、卒業、送別シーズンと「定年制度」
今日からセンター試験です。寒いなか、たいへんですが、入試だけでなく、卒業、送別シーズンもすぐそこです。今年は、定年退職される先生の送別会の幹事を仰せつかったので、昨日、博多・那珂川ぞいの料亭に、送別会の下見にいってきました。定年というのは、ある意味、社会生活から送り出すお葬式みたいなものでもありますから、できるだけ華やいで寂しさを感じさせないような演出が求められますね。
「定年制度」というのは世代間の交代をスムーズに進める一種の社会技術ですが、スムーズに進めるために「年齢」だけを基準にしてその他の面を一切考慮しないという特徴があります。それはアメリカ社会では「年齢による差別(Ageism)」とされて批判される側面を持っています。個々人がもつ、能力や気持ちや人柄や人間性など、様々なプラスの側面を、一切考慮せず、ただひたすら「年齢」という本人にはどうしようもない不可逆的な要素のみを基準に、人間に社会生活(仕事)からの退場を命じる、というふうに「定年」をとらえると、これは、とてつもない理不尽な「差別」であるみなすこともできるでしょう。私の研究するアメリカの高齢者NPOである「AARP」は、まさに「定年」制度が、人間性を考慮しない差別的な「強制的退職制度」であるとして定年制度撤廃運動をすすめ、現在、アメリカ社会では「年齢」を理由に退職を迫ることが禁じられています。それは「人種」や「性別」を理由に差別することが許されないのとまったく同じことだ、と考えられるようになったからです。
日本の入学試験とは
センター試験が近づいてきて、いよいよ受験シーズン本番だ。この「受験」制度、とても「安上がり」で「手抜き」の選抜方法だという説がある。たしかにアメリカなどは専従スタッフをそろえてアドミッション・オフィスが一年中、学生の選抜にあたっている。全米のみならず世界から応募があって、試験成績や内申書だけでなく、社会活動やリーダーシップ、そのうえ面接まで取り入れたりして、多面的・多角的に、たいへんな時間と労力をかけて高校生や留学生の選抜を行っているのだ。それにくらべてセンター試験などの「一発勝負」のペーパーテストは「客観的」で「恣意的にならない」ように「見える」。おまけに「手軽でローコスト」。なにしろ大量の人間の選抜が、たった一日で決着するのだから合理的で効率的だ。だから日本や韓国などで大流行・・・というのは竹中平蔵の説。だから、話半分に聞いたほうが良いのかもしれないが、ペーパーテストで「お手軽」かつ「安上がり」に人物選抜を行ってきた結果が、現在の日本の大学の惨状である・・・と言えなくもない。
福岡ユネスコ協会、もうすぐ65周年
昨夜は、福岡ユネスコ協会の企画委員会と新年会だった。福岡ユネスコ協会は、ユネスコと名乗るものの日本ユネスコ協会などとは一線を画した独立した活動団体で、今年で創立65周年を迎える。福岡に赴任した頃、福岡ユネスコ協会が、加藤周一、鶴見俊輔、ロナルド・ドーアらを招いて日本文化シンポジウムを毎年開催していることに驚いたものだった。昨年も、大澤真幸、加藤典洋さんらを招いて講演会やシンポジウムを開催している。昨年からブックレットも出し始めて、第1号は見田宗介先生のものだった。
さて、今年も1月に北九州で詩人の伊藤比呂美さんの講演会をかわきりに、ドナルド・キーンさんの講演会、6月には仏文学者の野崎歓さんの映画解説レクチャーも決まっている。秋にひかえた65周年記念シンポジウムの企画を話し合った。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~fukuoka-unesco/
波佐見の「そばちょこ」
波佐見の「そばちょこ」
波佐見焼は「そばちょこ」もいいですね。古伊万里ももともとは「そばちょこ」から人気が出たのではなかったかと思います。伊万里、有田、というのはブランドですが、じつは波佐見が作っていたという説もあります。波佐見は、茶碗、そばちょこ、小皿など、日常づかいの職人技がさえているところだったんだと思います。このあたりを歩くと、欲しくなって、ついついいろいろと買ってしまいます。あとで食器棚に入りきれないと、奥さんにおこられます。
波佐見の道をのぼっていくと「赤井倉」という波佐見焼のセレクトショップがあって、なかなか、いいですね。
これは「白山陶器」のそばちょこです。茶碗と同じデザインですね。私も数個、買ってきました。
波佐見は、坂の町。こういう、さまよい入っていきたくなる小さな坂道にあふれています。
波佐見焼と白山陶器
波佐見焼と白山陶器
波佐見の窯元は山の奥へ上がっていくのですが、その入口あたりに、あの「白山陶器」本社があります。ここはGデザイン受賞の醤油差しで世界的に有名なんですが、ここの「茶碗」も絶品です。薄く広く浅く、とても使いやすい。いろんなデザインが有るんですが、どれも良くて、いろいろと買ってきて楽しんでます。さすが「くらわんか茶碗」の伝統躍如という感じですね。院生の結婚祝いに進呈したこともあります。「白山陶器」は、東京・青山の根津美術館の近くの「フロム・ファースト・ビル」にもアンテナショップがありますね。東京にお住まいの人は、ここで茶碗を見て下さい。ひとつひとつ手書きだから模様も微妙に違いますよ。
『美の壺』と波佐見焼
波佐見焼1
『美の壺』(NHK)という番組が「波佐見焼」を取り上げていました。波佐見焼、いいんですよ。私も大好きなんです。その窯元の里村が素晴らしい風情があるんです。もちろん町ではなく、村というか、里ですね、陶芸の里。きっかけはJALの機内誌でじつに良い写真が出ていたので、ぜひ行ってみたくなりました。その後、何度か行きました。福岡からは2時間足らずですが、鄙びて渋くて秘境みたいで実に良い感じです。番組でも紹介していた「くらわんか茶碗」「コンプラ瓶」もいいですね。コンプラ瓶買ってきましたよ。日本酒をいれて毎晩使っています。
ちなみに「コンプラ瓶」とはこんなものです。オランダ東インド会社がヨーロッパ用に輸出したものらしいですね。「波佐見」は、普通は、とくに留学生なんかはぜったいに「はさみ」とは読めないでしょう。ちょっとエキゾチックな音と漢字ですよね。
波佐見は、こんな、坂道の里。ちょっと、気が遠くなるようなノスタルジックな風情にあふれています。 JALの機内誌に出ていたのは、たしか、ここ。
クルマ一台分の道なので、駐車して撮影するのが、難しかった。ひだりの道なんか、クルマは入れませんね。
NHKの「美の壺」なかなか、いいですよ。
座頭市と日本社会
【座頭市と日本社会】
正月に二つの「座頭市」映画を見た。たけしの座頭市と勝新太郎の座頭市(はたくさんあるのでその第一作「座頭市物語」)。
なぜかというと、「座頭市は日本社会をするどく象徴している」という説があるからである。
座頭市は眼が見えないから、遠くの世界のことは分からない。
しかし、そのぶん聴覚や触覚はするどく、身近に危険が迫ると、眼にもとまらぬ早技をみせる。
これが、まさに、日本社会そのものを象徴している、というのだ。
遠くの大きな世界のことはよく分からないし、あんまり関心もない。
でも、身近な世界のことは、きめ細かく、濃密に知っているし、すぐに反応して大騒ぎになる。そして文化的には、敬語や儀礼、丁寧な手仕事、小さな細工の最高度の洗練。いわば日本文化の粋のようなものが、まさに「座頭市」の世界と相通じているのだと言う。
へぇぇ、なるほどなぁ、そうだったのか、と思いました。
私はこれまで任侠映画は関心の枠外だったんですが、さっそく借りてきて見てみました。
なかなか面白いなぁ。もっといろいろ考えたけれど、それはまた次にでも。
「大人のピタゴラスイッチ」第2夜
「大人のピタゴラスイッチ」第2夜
「大人のピタゴラスイッチ」第2夜も見ました。第1夜「ちょいむず」の主題はアルゴリズム。しめじの長さの分類やじゃがいもの重さの分類方法には、家族そろってみんな驚いて関心してのけぞってしまった。ダンゴムシやテントウムシのアルゴリズムにしたがった動きが面白かった。第2夜は「認知科学」。一瞬、認知症と間違えそうだった。問題が難しくて、家族全員で、一時停止モードにして考えたけど、全然分からず、こちらが認知症になりそうだった。
ところで「子どものピタゴラスイッチ」。NHKのホームページを見ると、なんと対象は4~6歳だった。「子どものピタゴラスイッチ」でも十分楽しめるんだから、うちの家族はみんなそのくらいの精神年齢なのか?
大人のピタゴラスイッチ
お正月TV番組の中でダントツに面白かったのはNHK・Eテレの「大人のピタゴラスイッチ」だった。録画しておいて家族みんなで見たが、みんな思わず「ほうー」とか「おおおー」とか「うわーぁ」とか感心しきりだった。こんな面白い番組、なかなか作れるもんじゃないですね。
きょう見たのは「大人のピタゴラスイッチ─ちょっむず」だったが、アルゴリズムについて、とっても分かりやすく番組にしていた。もともとの「ピタゴラスイッチ」も、大人が見ても(というより大人のほうが)面白い番組なのだが、これなんか、もう「ちょっむず」どころか「とってもむずかしい」レベルの話を、ものすごく分かりやすく、しかも感心させるような演出で示していて、ちょっと、すごいですね。
ケータイとスマートフォンとマックの時代の親指シフト
ケータイとスマートフォンとマックの時代の親指シフト
何年も前、あんな小さなケータイですばやく打鍵する人が出てきたのを見て、時代の移り変わりを感じた。私には出来そうもない。いや出来っこない。さらに、スマートフォンの時代になると、フリック入力というのが出てきた。いやぁ、すごい時代になったもんだなぁ。これも、まぁ、出来ないことはないが、本気でやる気にはならない。でも「予測入力」というのが出てきて、こいつは、なかなかすごい。やっぱり時代は進歩しているなぁ。さらに、グーグルやアップルから、音声入力が出てきた。まず、グーグルの音声入力には、驚いた。こいつは、すごいなぁ。さらに、アップルiPhone5の「Siri」にも驚いた。こいつはすごいやつだ。
30年前、私の同級生に、あの灘高校から東京大学に進学した友人がいた。彼はたしかIBMかどこかに就職して、音声入力をやっていたはずだ。当時の最先端の頭脳と技術をもってしても、音声入力は、つい最近、ほんの一二年前まで、使い物にならなかったのだ。30年前からやっていたにもかかわらず・・・ところがこの一年の進歩には驚愕する。急激に、音声入力がすごいことになってきた。私はといえば、もうiPhone5で手入力などする気など、さらさらない。まず音声入力だ。もっと複雑なことは・・・やっぱり「親指シフト」だなぁ。ウィンドウズでは苦労しているが「やまぶき」などがウィンドウズ7や8に対応してくれているし、マックのほうはもっと盤石だ。MacBookAirでも「TESLA」などでは、ウィンドウズよりももっと簡単に親指シフト入力できるようになっている。
「親指シフト」派には、これからはむしろウィンドウズよりマックの時代になるかもしれない。
勝間和代さんと親指シフト
勝間和代さんと親指シフト
ちなみに勝間さんのブログを見ると、キーボードは「PFU Happy Hacking Keyboard」を使っているのでしょうか。
このキーボードは、私も持っていますが、いまいちな感じでした。私の感覚では、IBMのThinkPadのキーボードのほうが、はるかに打ちやすいし、親指シフトに向いているように思います。
私も、親指シフトにするために、外付けキーボードを何台も購入しましたたが、どれもいまいちでしょうか。
私にとっては、ThinkPadのキーボードのほうが打ちやすかった。感覚的なものですかね。
レノボになっても、、X61s, X301, T420sと何台も使ってきました。さて、最新のThinkPadは、アイソレーションキーボードになってしまって、やや配列も変わったらしい。じっさいに打ってみないことには判断しかねるのですが、最近は、量販店にいってもレノボのThinkPadはおいてない。だから、打鍵感覚その他、どんなものか分からなくなっちゃいましたね。
どなたか使った人はいませんかね。
ウィンドウズ8と親指シフト
ウィンドウズ8と親指シフト
現在、もっとも有名な「親指シフター」とは「勝間和代」さんらしい。ふうーん。で、その勝間さんのブログをみると、さっそくウィンドウズ8で親指シフトができるかをレポートしている。
(http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2012/11/windows8windo-2.html)
なるほど。
で、正月に、4年ほど使っていて、とてつもなく遅くなってしまって、使わなくなっていたノートパソコンを、ウィンドウズ8にしてみた。
なるほど、すこし早さは回復したし、たしかに親指シフトもきく。
でも、ウィンドウズ8の印象は、「なんだかわけがわかんない」。
マイクロソフトも迷走しているなぁ。なんだかつぎはぎだらけで、改良してほしいところは、あんまり変わってなくて、見てくれだけが変わって、かえって分かりにくくなった感じだ。ウィンドウズ7のほうが分かりやすかった。
まぁ、もうすこし様子見をしたほうが良さそうですね。
原田芳雄と『ツィゴイネルワイゼン』
原田芳雄と『ツィゴイネルワイゼン』
正月にDVDで原田芳雄主演の『大鹿村騒動記』を見た。昨年は、原田芳雄が亡くなった年でもあった。
原田芳雄といえば鈴木清順三部作の印象が強烈で未だに色あせない。私はホームページで「ツィゴイネルワイゼンを歩く」とか「陽炎座を歩く」といったロケ地めぐりの記事を掲載しているくらいだ。とくに鎌倉の釈迦堂の切通しとか、島田の蓬莱橋のシーンなど、いまでもありありと思い出す。じっさい現地を歩くと、さらに印象や思いが深くなる。
「ツィゴイネルワイゼン」については社会学者・橋爪大三郎さんが「ツィゴイネルワイゼン:知の擬態」という注目すべき論考を発表したこともあって、何度も見た。原田芳雄ふんする中砂と、藤田敏八ふんする青地との怪談・幽霊の物語なのだが、西欧由来の知(ツィゴイネルワイゼン)がいつのまにか幽霊になっている、というホラー仕立ての・・・いやホラーでない。今現在の日本の根拠のなさ、自信のなさ、寄る辺なさ、根拠のなさ、そうしたものを象徴しているような映画なのであった。
でも、この映画ももう30年も前になるのか。月日のたつのは早いけれど、印象は色あせていない。
http://www.littlemore.co.jp/seijun/
ツィゴイネルワイゼンのページはこちら
博多湾の突端で考える
博多湾の突端で考える
昨日、思い立って、博多湾の突端、筥崎宮と玄界灘への出口の一直線上にある絶景スポットに立ってみた。
ここは玄界灘に北面して寒風吹きすさぶ凍えるような寒さ。左に能古島、右に志賀島がある。その間にみえるは小さな岩礁や行き交う船舶だ。この彼方に朝鮮半島や中国大陸がある。1400年近く前には、ここから遣唐使が出て行ったのだろうし、700年ほど前には、この狭間をとおって「元寇」が博多にやってきたのだった。そして現在は、韓国からは高速艇ビートル、中国からはクルーズ船がやってくる。さて今年も東アジアは波乱含み。毎朝、BSニュースで韓国KBSや中国のニュースを見ていると、あんまり良い兆候は見当たりませんね。
新年迎えた瞬間 “つぶやき”世界記録
ツイッターが、新年迎えた瞬間 “つぶやき”世界記録になったらしい。
やれやれ、日本の若者たちは、こういうこと(あえて「こんなこと」とは言うまい)には世界一熱心なんだなぁ。しかし、本当にやらなければならないことからは逃避して、こういう「やりやすいこと」「どうでもいいけど、みんながやっていること」に逃げてるんじゃないのか。どこか歪んでないかぁ。
新年迎えた瞬間 “つぶやき”世界記録
インフォメーション
安立清史(「超高齢社会研究所」代表、九州大学名誉教授)のホームページとブログです──新著『福祉の起原』(弦書房)が出版されました。これまで『超高齢社会の乗り越え方』、『21世紀の《想像の共同体》─ボランティアの原理 非営利の可能性』、『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房)、『福祉NPOの社会学』(東京大学出版会)などの著書があります。「超高齢社会研究所」代表をつとめています。https://aging-society.jp/ 参照
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