From the monthly archives: "10月 2008"

小林秀雄の旧宅

2008/10/30

 小林秀雄の主要著作が生み出されたのは「山の上の家」である。小林秀雄全集その他にその家の写真は数多く掲載されている。晩年の小林は、坂の上から雪の下のほうへ移ったが、「山の上の家」はどのような場所にあったのか、行ってみたかった。
資料としては小林秀雄の妹の高見沢潤子が『兄・小林秀雄』その他で、その家のことをかなり詳しく記述している。しかしどの小道を入るのかは分からなかった。ようやく「東京紅團団」のホームページから小林秀雄旧宅の地図をみて、ほぼその場所を特定できることになった。
それは、鎌倉の小町通りを突き抜けて、八幡宮の脇を北鎌倉方面へ少し登ってから、右脇の細く急な坂道を登ったところにあった。新潮社の文学アルバムなど に、この「山の上の家」の玄関から出てくる小林秀雄の写真があるので、まちがいなくこれが「山の上の家」である。いまはY画廊のY氏の所有になっているよ うだ。小林秀雄が住んでいたころのまま保存されているのではないかと思われるが、中には入れない。
ところで、こんな急坂の上の小林秀雄旧宅の、さらにその上に、場違いなスペイン風の家が建てられていて、所有者とおぼしき人が、私のような旅行者を、不審者と疑って尋問してくる。こうしたとげとげしさも鎌倉という土地柄なのか。



夏のさなかには、さすがにこの急坂はこたえる
ひだりは竹林だが、右は家が坂道にびっちりと建て込んでいる。


かつては、ここが山の上だったのだろうか。今では、さらに上にも家がたっている。


奥さんが買い物にいけなくなったので下に移ったとある。これはさすがに高齢になるとつらいだろう。