From the monthly archives: "8月 2015"
哲学堂出版代表の板垣悟さんに再会
東京の市民協での講演には、わざわざ明石書店編集長の神野斉さんや、哲学堂出版代表の板垣悟さんにもご出席いただきました。この講演のような論旨の本を書くつもりで計画しているのですが……。神野さんは大学時代のゼミの先輩、板垣さんは、なんと群馬県立高崎高校時代の同級生です。ドイツ語関係の出版社をへて、現在、哲学堂出版という会社を立ち上げて活躍されています。
哲学堂出版
https://www.youtube.com/watch?v=ECaSO9AiJjo
佐藤健二先生の最終日は『論文の書きかた』講義
佐藤健二先生の集中講義4日目は『論文の書きかた』(弘文堂)講義でした。この本、今学期の学部4年生の卒論指導と大学院の演習でもサブテキストで使わせていただいたのですが、なかなか難解、というか、一度読んだだけではすんなり理解できない。まず「書き方」を教えるノウハウ本ではぜんぜんない。「論」とは何か「文」とは何かからはじまって、論文に入るまでにふう、5章くらい読み進む必要がある……私も二度三度と読んで準備していっても、難解。そこで特別にリクエストして、集中講義の最終日は、この本の著者による解説と質疑応答にしていただきました。いきなり3時間ぶっつづけの解説。すでに集中講義でふらふらの学生の中にはダウンしてしまうものも……。でも、なるほど、そうだったのか、と得るものも大きかったですね。みなさん、ごくろうさまでした。集中講義のあとは、太宰府をご案内して、空港までお送りしました。
『グランド・ブダペスト・ホテル』を観ました。
『グランド・ブダペスト・ホテル』を、ようやくDVDで観ました。3月に見始めたのですけれど海外に出かけたりして途中までしか見ていなかった。それを今回、あらためて見直しました。
これは、文句なく、面白い。ストーリーは分かりやすいサスペンス仕立てのどんでん返しもの。役者も達者、最後までどんでん返しがつづく。でも、見所は、かならずしもストーリーではなくて、このグランド・ブダペスト・ホテルという舞台の設定こそが素晴らしいのだと思う。人里離れた山のうえにある豪華でミステリアスな、そして衰微し崩壊しはじめているグランドホテル。この「グランド・ホテル」こそが主人公です。これが第一次大戦によって決定的に衰微し、第二次大戦によってとどめを刺されたヨーロッパ文化のメタファーであることは間違いないでしょう。しかもその中枢にはユダヤ系の富豪や作家が関わっている……。「グランド・ホテル」を守ろうとする人たちには、みんなどこかユダヤ的な悲劇性が漂っていますね。映画の最後のクレジットに「シュテファン・ツヴァイクの作品にinspirationを受けて」と出て来ます。ツヴァイクこそ当時、ユダヤ的知性として有名で、「昨日の世界」でヨーロッパ文化が「昨日の世界」になって消え去りつつあることを書いていました。ツヴァイクは、ザルツブルクの丘の上に見事な屋敷をかまえ、そこで「人類の星の時間」が書かれ、ロマン・ロランらが訪ねてきていたといいます。このザルツブルクのカプチーナベルクの丘の上にあるパッシンガー城には、私も間近まで行ったことがあります。中には入れませんけれど。眼下には、モーツァルトが生まれた街が、川の向こうにはホーエン・ザルツブルク城の丘が見えるまさに絶景のところでしたね。ああここが「人類の星の時間」なのかと思ったことでした。
是枝裕和監督の『歩いても、歩いても』を観ました。
社会学 Tagged With: 映画、是枝、原田芳雄
フルブライト留学生だったダニエル・サリヴァンさんが「My favorite」と絶賛していた是枝裕和監督の『歩いても、歩いても』をDVDで観ました。冒頭から波乱含みの台詞が次々に出て来るので、どんな対立や対決が現れるのかと思いきや、最後の最後まで、淡々として何事もなかったかのように(しかし何事かがあったことを暗示して)終わる。これはなかなかの作品だと思いました。ポスターの「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」、いいですね。
夏休みに家族をつれて里帰りするときの気分、そのものです。
夏休みに、家族でしみじみ観るのに、お薦めです。
原田芳雄も、いいですね。調べてみると、はじめて原田芳雄という俳優を知った作品である鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」は1980年だったのか。それにつづく「陽炎座」も1981年だったのか。それ以来、いっきに飛んで最後の作品の「大鹿村騒動記」(2011年)まで観ていなかったからなぁ。感慨深いものがあります。
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