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福岡の「宅老所よりあい」代表の村瀨孝生さんと私との共著『介護のドラマツルギー』ですが、3月21日には読売新聞・夕刊で、大きく紹介していただきました。
介護やケアの本として紹介されるのかと思っていたら、意外にも「アンチ・アンチエイジングの本」として紹介されました。なるほどそういう読み方もあったかとちょっと驚きました。考えてみたら、そのとおりですね。老いやエイジングを否定せずにどう正しく受容するかをエピソードから考えている本ですからね。以前から「宅老所よりあい」に関心をよせていた高橋源一郎さんの本と並べて紹介されたのも嬉しいことでした。こういう化学反応のような読まれ方もいいですね。

【読売新聞オンライン】先日の読売新聞・夕刊の記事です。読売新聞オンラインでも紹介されています。
「アンチエイジングに抗う新刊 作家の高橋源一郎さんや福岡の特養老人ホーム代表らが『老い』を考察」
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/interviews/20260323-GYT1T00139/


「ツィゴイネルワイゼン」を観る
2026年4月、福岡市総合図書館シネラで久しぶりに鈴木清順の映画「ツィゴイネルワイゼン」を観ました(フィルム上映で)。
1980年の映画ですから46年前の映画になります。この映画が公開された当時の自分史と重ね合わせると、駒場から本郷へ進学したころです。本郷の社会学研究室には不思議な先達として橋爪大三郎さんがいました。当時、無所属。しかし先生以上の先生として尊敬を集めていました。地下室では橋爪さんを中心に秘密めいた研究会が開かれていました。そこで橋爪さんのガリ版刷りの原稿「ツィゴイネルワイゼン: 知の擬態」を読みました。これには大きな衝撃を受けました。なんと、この映画は日本の近代的な知識人の本質的な「弱さ」が描かれているというのです。一見、近代的なインテリ知識人にみえるが、それは「本物への擬態」ではないか。
レコードの中でサラサーテが演奏中に何か呟いている。それを必死に聴き取ろうとする主人公の二人。これこそ近代化日本の知識人の似姿そのものだというのです。当時の橋爪大三郎さんは「無所属」。どこにも職をもたず、小室ゼミや自主研究会などで若い院生を指導しながら、膨大な手稿を書き溜めていました。それらはのちに出版されていきますが、当時はまだ知る人ぞ知る、といった存在でした。橋爪さんは、当時の学会やアカデミズムは、まさに「知の擬態」だと批判的に見ていたにちがいありません。だから、この映画を、大学や学会やアカデミズムへの批判として、さらに自分自身への鞭撻として真摯に受け止めたのではないかと思うのです。
この論考は衝撃的でした。映画の中に社会学を見つける。こういうことが可能なのか。それを教えられたように思ったのです。
社会学に進学したばかりの時でした。


読売新聞・夕刊(2026/03/21)で、私と村瀨孝生さんの共著『介護のドラマツルギー』が紹介されました。なんと「アンチエイジングに抗う」と題して、高橋源一郎さんの『ぼくたちはどう老いるか』と並んで「アンチ・アンチエイジングの本」として紹介されています。これにはびっくり。アンチエイジングを主題にしたつもりはなかったのですが、言われてみれば、まさにそうも読める。記者がこの2冊を並べて紹介してくれたので、新たな視点をいただいたようで嬉しくなりますね。私たちの本は「意外な発想に満ちている」という評価もいただきました。これもうれしかったですね。(記事の一部だけ紹介します)


3月14日に東京・広尾の日本赤十字看護大学でひらかれた日本保健医療福祉学会の研究会で『介護のドラマツルギー』について講演しました。久しぶりの学会報告、しかもコメンテーターではなく、報告書として招聘されて。私は介護やケアの実践家でも研究者でもありませんが、福岡のユニークな介護施設「宅老所よりあい」のことは20年以上にわたって見てきました。そのうえで「宅老所よりあい」の代表の村瀨孝生さんと2年半にわたっていっしょに本をつくる作業をしてきて考えたことをお話ししました。「宅老所よりあい」と村瀨孝生さんには2つの不思議と謎がある、というところから講演をはじめました。まず入口は、なぜ谷川俊太郎さんが「宅老所よりあい」を早くから評価していたのはなぜか、からはじめました。討論者は木更津でユニークな「宅老所井戸端げんき」を運営されている伊藤英樹さん、法政大でケア研究者の三井さよさんでした。なかなか面白い研究会になったと思います。


 

主催:日本保健医療社会学会研究活動委員会、看護・ケア研究部会
日時:2026年3月14日(土)13:30~16:30
場所:日本赤十字看護大学601講義室(ハイブリッド)
テーマ:「ケアを問いなおす――『介護のドラマツルギー』をめぐって」
講演者:安立 清史(九州大学名誉教授)
指定討論者:三井さよ(法政大学)・伊藤英樹(NPO法人井戸端介護)
司会:坂井志織(東京都立大学)・松繁卓哉(追手門学院大学)・本多康生(福岡大学)
企画主旨:
本公開企画では、2025年5月に開催された日本保健医療社会学会第51回大会「Health and Medical Sociology in Motion:「越境」をさぐる」および、7月のアフター企画「介護・福祉の可能性――ケアの価値を再考する」を受け、介護をテーマに議論を深 めていきたい。『介護のドラマツルギー――老いとぼけの世界』(弦書房)を共著で 刊行された社会学者の安立清史さんを講演者としてお招きし、宅老所の日々の営みを通して、老いてゆく人とそれを見守る人々のかかわりを、「介護のドラマツルギー」 という視点から報告していただく。
さらに、指定討論者は2名の方にお願いしている。多摩地域における知的障害当事者 支援活動の参与観察を長年続けてこられた三井さよさんには、社会学者の視点からコ メントしていただく。千葉県木更津市の宅老所「井戸端げんき」で、認知症、精神疾患、身体障害を抱えた人々と向き合って、共生ケアを実践してこられた伊藤英樹さんには、現場の視点からコメントをいただく。全体討論では、多様なケアの場で起きている出来事を、実践者と研究者がいかに言葉によって捉え、記述し、共有しうるのかを、参加者とともに議論したい。会場にお越しいただける方には、ぜひ対面でのご参加をお願いしたい。

※遠方等の事情により来場が難しい方を対象に、オンライン参加(ハイブリッド)も併用予定ですが、通信環境等の都合により、接続の安定性や参加を確約するものではありません。あらかじめご了承ください。
※参加費無料・一般参加可
研究例会参加申込フォーム:
https://forms.gle/uSKHYGpT21S3V3dj9


2月の大雪のあと京都に行ってきました。立命館大学・加藤周一現代思想センターの鷲巣力さんにお会いして加藤周一の資料(プラハの春関連)を見せてもらうために。今から60年ほども前、1968年にソ連軍のプラハ侵攻がありました。この時のプラハ市民の対応は、ウクライナの場合と対照的にソ連の戦車と真正面から武力対決するのではありませんでした。むしろ言葉によって戦車に対抗したのです。その時の驚きとその後の経過を、直前にプラハを訪れていた加藤周一は『言葉と戦車』という文章にしています。戦車の前で言葉は圧倒的に無力だが、圧倒的な言葉の前に戦車も無力だった、そう書いています。いま、世界はどうでしょうか。軍事侵攻があたりまえになりつつあります。それよりも世界中が「戦車のような言葉」に侵攻されています。戦車の前に野に咲く一輪の花をかかげるような「もうひとつの言葉」が必要な時代だと思います。いまこそ、もういちど、加藤周一を読み直すべきではないかと思っています。(ちなみに鷲巣力さんは平凡社で加藤周一著作集をつくった伝説的な編集者です)


中井久夫さんの文章に「世直しと立て直し」というのがありました。
威勢の良い「世直し」は、選挙ではアピールするかもしれないが、成功することは(ほとんど)ない。二宮尊徳が成功したのは「世直し」でなく「立て直し」だったからだ、という趣旨でした。みんなが一斉に世直しを叫ぶ時代です。究極の世直しは戦争で、それで世直しが成功したことはないでしょう。


寒気に選挙がかさなって寒さがひとしおです。総選挙がきまる前からの予定で数日、京都に行くことになりましたが京都はいちだんと寒そうですね。不思議なご縁があって立命館大学・加藤周一現代思想センターに資料を見せてもらいにいくのですが、この機会にというわけで妻はNHK・BSのドラマ「京都人の密かな愉しみ」のロケ地巡りを計画しています。このドラマも不思議なご縁で10年ほどまえ、このドラマの制作に携わっていた方から教えていただいて、妻も私もファンになって全部を見てきました。仏教大学に講演にでかけた時に生粋の京都人(お公家さんの家系とか)にこのドラマのことをお話ししたのですが、ふふんと一顧だにされませんでした。京都人は京都人を描いたドラマには関心を示さない(ふりをする)のかもしれませんね。


3月に東京の日本赤十字看護大学で開催される、日本保健医療社会学会の公開研究会で『介護のドラマツルギー』についてお話しすることになりました。討論者がきまったようです。三井さよ(法政大)さんと「宅老所井戸端げんき」の伊藤英樹さん。なかなかすごい人選ですね。いそいで伊藤さんの書いた本を読みはじめています。


日本保健医療社会学会 2025年度第5回定例研究会/看護・ケア研究部会公開企画
(主催:日本保健医療社会学会研究活動委員会、看護・ケア研究部会)
日時:2026年3月14日(土)13:30~16:30
場所:日本赤十字看護大学601講義室+Zoomによるハイブリッド
テーマ:「ケアを問いなおす――『介護のドラマツルギー』をめぐって」
講演者:安立清史(九州大学名誉教授)
指定討論者:三井さよ(法政大学)、伊藤英樹(NPO法人井戸端介護)
  司会:坂井志織(東京都立大学)・松繁卓哉(追手門学院大学)・本多康生(福岡大学)
※参加費無料・一般参加可


1月に、読売新聞東京本社(文化部)の記者から『介護のドラマツルギー』について、村瀨孝生さんと私が取材を受けました。わざわざ東京から取材にくるだけあって通り一遍の質問ではなく、2時間みっちりの取材でした。取材の終わりの写真撮影も、「よりあいの森」のさまざまな場所で連写しながら撮影するので、びっくりしました。さぁて、どんな記事になるのでしょうか。楽しみです。(その記事は、3月21日の読売新聞・夕刊記事になりました)