From the monthly archives: "12月 2023"

NHKの『ジブリと宮崎駿の2399日』を見ました。これには驚きました。今までにないことが大胆に語られていました。いくつも驚きのエピソードが紹介されていましたが、この写真は、先日ほいったジブリパークの「サツキとメイの家」の写真です。サツキは、なんと宮崎駿かれ自身の投影だったのですね。なるほどそうだったのか。目からうろこでした。


講演でひさしぶりに名古屋にいきました。そこで今話題のジブリパーク(大倉庫とどんどこ森)にも行ってみました。広大な敷地で、これは一日では回りきれません。なかでも大倉庫内の映画館オリオン座で観た『星をかった日』という16分の短編映画は良かったですね。「かった」は買ったと飼ったの両方の掛詞なんでしょうか。これは心に残ります。宮崎監督マジック満載ですね。月替わりで毎月違う映画を上映するようです。


名古屋市で、愛知県社会福祉協議会主催の住民参加型在宅福祉サービス活動団体研修で講演とディスカッションのまとめのお話しをしました。当日は、愛知県社会福祉会館に県内各市の社会福祉協議会職員の方々とNPO法人のリーダーやスタッフの方々、あわせて50名ほどが参加されました。私の1時間ほどの講演をきいたあと、社協とNPOの方々とが1時間ほど相互の活動を話しあうという良いディスカッションの機会になりました。行政や社会福祉協議会とボランティア団体やNPOとは、同じような現場にいながらも、淡水と海水がなかなか容易には溶け合わない汽水域のように、お互いに相手との「違い」を見つけ出しがちです。でも海水も湧き水からの栄養分でプランクトンや魚が豊富になっていくように、違いから新たな栄養分が生まれるようになると良いなと思います。


「住民参加型在宅福祉サービス団体研修会」で講演します
(愛知県名古屋市・社会福祉会館 12月12日)

時間──12月12日(火曜日)午後1時30分から午後4時40分
会場──愛知県社会福祉会館・2階・ボランティア学習室
演題──『ボランティアと有償ボランティア』をめぐって──共生社会とこれからの住民参加型在宅福祉サービスを考える
主催──社会福祉法人・愛知県社会福祉協議会(参加費無料)


沢木耕太郎の新著『夢ノ町本通り』の掉尾に「本を売る」というエッセイが収められている。70年代に大阪の巨大書店で店員の取材をした話が、やがて2023年に自分の書斎の本の大整理をした話につながっていく。驚くべきエピソードがさらりと語られいる。六千冊もの本をブラジルの友に送ったという話、その後にたまった本を倉庫に預けておいたらそこが倒産して1万冊の本もろともに行方不明になったという話、植草甚一さんの死後行き場を失った本千冊もいっしょに消え去ったという話。そして今年、思い切って最後の本の処分をはじめた、という話。どれも身につまされる話ばかりだ。思えば、私も本の大処分を3回したことがある。一度目は東京の大学から福岡へと移ってくる時。学生時代から大切に買い集めた本を神保町の田村書店というところに買い取ってもらった。店主が軽トラでやってきて、雑誌『現代思想』の創刊号からのバックナンバー揃いや、エピステーメー、パイデイア、などという雑誌一式も引き取ってもらった。あの雑誌たちはいま、どんなところにあるだろうか、まだ存在しているだろうか。二度目は、九州大学が箱崎から伊都キャンパスへ引っ越しする時。この時にも博多の古本屋さんに引き取ってもらったり専門学校に寄贈したりした。そして現在が三度目のそして最後の整理である。来年3月までにすべての本を処分するか持ち帰らねばならないので学生たちに手伝ってもらって大処分をしている。沢木耕太郎さんのようはいかないが、本というものは若い頃の私(たち)にとっては「夢」の世界への入り口だった。それが40数年をへて「夢の跡」になっていくのだろうか。