ジブリ・加藤周一・座頭市
ジブリから出ていた加藤周一のDVD「日本その心とかたち」の特典映像に、座頭市について語った興味深いエピソードが出てきます。彼はヤクザ映画や「座頭市」などの映画も観ていたのですね。しかもその中に「日本文化」の特徴を見いだしていたのです。座頭市とは何か──(視覚障害者ですから)遠くのことは分からない。「あっしには関係ねぇことでござんす」とうそぶいていながら、敵が近くで刀を抜く音が聞こえようものならじつに素早く対応する。これこそ日本外交の理想の姿ではないか、というのです。なるほど、皮肉たっぷりなのですが、そのとおりだと感心しきりでした。映画をたんに娯楽としてではなく、その中に日本文化の基本構造が現れていると見ぬいていたのです。加藤さんの文章に勇気づけられて、私もジブリ映画から発想のヒントをえて、いくつか文章を書いたりするようになりました。


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