From the monthly archives: "5月 2022"

5月は「沖縄本土復帰50周年」関連の記事や番組がめじろおしでしたね。「本土」にいると見えない問題がさまざまに取り上げられていました。初めて知ることも多かったのですが、NHKの「ふたりのウルトラマン」はなかなか面白かったです。ウルトラマンの脚本家が沖縄出身で、その後、悩まれて……ということは知っていましたが、なるほど「ドキュメンタリードラマ」として見せられると、いろいろ考えさせられました。授業でこのことを話したら、今の学生、「ウルトラマン」ほとんど知らないんですよ。ウルトラマンとスーパーマンの違い、といっても「?」という顔が帰ってくるばかり。

ところで──ウルトラマンにおける「怪獣」とは誰か。ウルトラマンは「沖縄」を守るために必死に怪獣と戦う。「怪獣」とは、はじめはアメリカ、復帰後は日本、というのが私の見立てですが、どうでしょうか。


このところBS世界のドキュメンタリーでロシア関係のものを見ています。いくつも驚きのドキュメンタリーがありました。なかでも「ゴルバチョフ:老政治家の遺言」というのが凄かったですね。ラトビアとチェコとの共同制作のようですが当時90歳のゴルバチョフ(実質的には監視された軟禁状態のようでした)に直球の質問を投げかけるのです。それを真正面から受け止めたり、さらりと受け流したり、ゴルバチョフの知力も凄いのです。90歳にして衰えを感じさせない。しかしもっとも驚いたのは、ゴルバチョフも夫人のライサも、ともに父か母か、どちらかがウクライナ人だ語っているところです。もちろんウクライナ侵攻のはじまる数年前のインタビューなのですが、これには心底驚きました。ロシアとウクライナ、その関係の微妙かつ深いところが、かいま見えたように思いました。でも、日本で政治家に対するこんなに深い番組を作れるだろうか。そもそも作ろうという意思を持てるだろうか。そんなことも考え込んでしまいました。


私の担当する最後の社会調査実習ですが、今年度の社会調査実習も授業時間内で10人の方々へのオンライン・インタビューで行うことにしました。まず先週は、福岡で不登校や学校に適応できない子どもたちの支援などを行っている益田仁さん(中村学園大学)、今週は大阪・西成でホームレス支援のソーシャルワーカーをやってこられた白波瀬達也さん(関西学院大学)へのインタビューでした。学生は予習でいくつも論文を読んで質問を準備して、インタビューのあとは文字おこしなどもグループごとに担当するのでけっこうハードですが、この経験はきっと将来役立つのではないかと思います。


久しぶりの東京でした。いろいろな用事のあいまに早稲田大学村上春樹ライブラリーに行ってきました。ここ、いいですね。彼の世界を作ってきた本というコンセプトの大階段の書棚、執筆の現場を再現した部屋、彼の好きなオーディオルームなどがあります。外部の訪問者は予約制で90分限定なんですが、最後の30分くらいは、入り口の横のソファのある場所でジャズのCDが流れていました。これがすごく音が良いんです。JBLの小型と、もうひとつのトール型のスピーカーから流れてくる音が、すごく軽くて繊細で、思わず聞き惚れてしまいました。最近、こんなにすてきな音のスピーカー、聴いたことないというくらいでした。