From the monthly archives: "7月 2021"

今日(7月29日)はゴッホの命日です。数年前、パリ国際大学都市に滞在中、ゴッホ終焉の地、オーヴェール・シュル・オワーズを訪ねました。考えてみればわずか4年前のことなのですが、もう十数年前のことのようです。この数年で世界は激変しました。さて、線路図でみると大学都市から1時間くらいで行けるように思えたのですが、じっさいはポントワーズで1時間以上も接続がなかったりしてオーヴェール村に到着するのに時間がかかりました(曜日によるようです)。二十年前にも一度訪問したことがあるのですが、当時はまだゴッホ終焉の家も整備されてなくて外観だけでした。今回は立派な博物館になっていました。お決まりの「オーヴェールの教会」「ゴッホ兄弟の墓」の後で、この時は新たに「ガシェ医師の家」も訪問しました。今日、オルセー美術館にゴッホ晩年の名作があるのは、彼がフランス政府に遺贈したからなのですね。


緊急事態宣言で福岡も2ヶ月にわたって図書館や市民プールが閉鎖されていました。ようやくおずおずと開館になって、7月からはシネラで映画の上映も始まりました。「イラン映画の巨匠たち」特集から、今週はなかなか見ることの出来ないイラン映画を3本ほど見ました。そして今日はショーレ・ゴルパリアンさんの講演「イラン映画史の宝物」を聴きました。なるほど革命後のイランの映画状況はそうなっていたのか。いまだに検閲が厳しいイランで、どう巨匠たちが映画を撮っているのか、その苦労がかいまみえました。


先日、福岡市のワクチン接種の1回目を受けました。その日から上腕部が上がらなくなって二日目も安静に、ようやく三日目になって平常になってきました。オンライン授業したあとは安静にして本を読んだりノートパソコンで映画を観たりしていました。黒澤明の「いちばん美しく」と「わが青春に悔いなし」を見ましたが、この2作品、黒澤明の最初期のものですが、じつに不思議、成功作なのか失敗作なのか、にわかに判断がつかないところが、じつに面白い。


黒澤明「わが青春に悔いなし」の原節子

ほんの4年前なのに、なんだかずいぶん昔のよう。自由に旅ができた頃のことですから、余計にそう思うのでしょうか。ふと思い出して以前の写真を探すと、ありました。ちょうど今頃、大学時代からの友人Tくんと上越の平標山に登山したのです。初心者の私にはけっこうキツイ登山でしたが、すばらしいサプライズがありました。山の稜線で、無数の「オオツチハンミョウ」の成虫を発見したのです。このツチハンミョウ、昆虫学者のファーブルが本に書いたり、それをうけて福岡伸一が『ツチハンミョウのギャンブル』という本を書いたり、とにかく、すごい虫なんです。人間が考えると、ありえないレベルのギャンブルを冒して生きのびてきた虫です。本を読むと、そんなことありえないだろう、と唖然とするのですが、そのあり得ないレベルのチャレンジをしてきた虫の生きたナマの姿を、よりによって上越の高山の稜線でたくさん見つけました。これは、今思い出しても、夢幻のような風景でした。