From the monthly archives: "3月 2018"

今年も社会学を卒業する4年生の卒論発表会がありました。私の担当は4名。どの卒論もなかなか良いできでした。九州大学社会学の卒論は最低でも4万字、今年は8万字書いてくる学生もいました。ツイッターやSNS文体でなく、長編小説を書くようなものです。それには、きちんとした構成と、長く書いて次第に深めていくという書き方の会得がポイントとなります。


ふだんは教授会が開かれる会議室をつかって卒論発表会です。

昨日、地下鉄箱崎九大前を出て、ふだんは行かない右へ曲がると、そこにはただ空虚なだけの更地が広がっていました。かつての九州大学のコンパ施設「三畏閣」がついに更地になっていたのです。小さなショックを受けました。敷地がこんなに広かったことと、あれだけの歴史と風情ある建物が、あっというまにこのような空虚に帰してしまうことに。箱崎キャンパスも、きっと、あっというまにこのような更地になっていくことでしょう。


上が昨日の更地になった跡地の写真、下は先月の解体時の写真です。

かつての三畏閣、このような威厳ある建物でした。懐かしいなぁ。もう二度と見られません。

2010年の年末に、ここで社会学の忘年会を開きました。中華料理・帰郷からケータリングを頼んで、いささか寒風入り込む三畏閣で忘年会をしました。

定年退職教員の送別会シーズンです。九州大学文学部は今年、哲学の先生が退職されます。今年の送別会は博多の有名な料亭「三光園」でした。忘年会と送別会のために、文学部に所属する教員は毎月少なからぬ金額を積み立てているのです。私も赴任してはや20年。送別会を通じて、博多の有名料亭のいくつかに足を踏み入れました。いずみ、嵯峨野、稚加栄、そして三光園。まだ行ったことのない老松などもありますが送別会は貴重な博多探検の機会ですね。
退職する教員を囲んで様々な思い出話が出て来る。今時、このような料亭でこのような浮き世離れした送別会を催すのもまれになってきたのではないでしょうか。思うのですが、送別会や忘年会を、個人の自由参加にすると、このような特別な共同性は生まれ得ません。毎月の積み立てだからこそみんなが参加します。これを「自由参加」にしている他の部局では、忘年会は70名中の10名程度の参加、送別会にいたっては開催されません。あっさりしているというか共同性はないも同然ですね。職場の共同性というのは、様々な工夫と仕組みによって成りたっていく部分もあるのですね。