韓国・釜山で開催された「8th ACAP conference」で、会場となった韓国・釜山のリゾート地・海雲台(ヘウンデ)。15年くらいまえに一度来たことがありますが、その時は、まだ開発が始まったばかりで、カジノのあるホテルが一軒だけ、あとは海岸ぞいにたくさんの屋台が並んでいたのを覚えています。ところが今回はその激変ぶりに驚きました。APECの会場となったのをきっかけに大開発が進んだと言います。とくに80階建てのマンションなどが林立して、唖然としました。こんなに超高層のアパートが建て込んで、息苦しくないのだろうか・・・。とにかくその大発展のパワーに一驚しました。
きょうはNPO法人「はかた夢松原の会」でフィールドワーク
きょうの午後の3年生の社会調査実習の授業は、天神のNPO法人「はかた夢松原の会」事務所で、NPO法人の方々と、今後の天神フィールドワークの打ち合わせです。
今年は「天神の社会学」と題して、福岡都心の天神の、地域・家族・ソーシャルアクションなどを調べようと意気込んでいるのですが、熱心なのは私だけだったりして・・・。学生たちは、前の時間も授業がある、あとの時間も授業がある、などと渋い声ばかりです。
ええい、そんな座学の授業など休んでしまえ・・・とも言えず、こちらの意欲は空回り気味。朝から晩までびっちり講義をとっている学生には、フィールドワークなんか不評なんですね。でも、なんでそんなに授業とってるのかといえば、就活に差し障りがないように、はやめに卒業のための単位をとるためだったりするんですが・・・なんだか本末転倒の授業の取り方だなぁ、などと思うのは私だけなのか。
週末の夕方「水爆大怪獣映画」ゴジラを観た
週末の夕方「水爆大怪獣映画!」ゴジラを観る
梅雨空なので日曜午後は映画日びより。『桐島、部活やめるってよ』に続いて『ゴジラ』(1954年の第一作)を見た。
この『ゴジラ』、加藤典洋さんが『さようなら、ゴジラたち ――戦後から遠く離れて』で言及されているので、いちど、見たかったもの。こういうクラシックは、いま、なかなかビデオ店にもないですからね。しかし、やっぱり第一作は勢いがある。
モノクロの、ほとんど夜のシーンの、ゴジラも象徴的に描かれているだけの第一作だけれど、エッセンスは、ほぼ出尽くしている。
水爆実験によって生み出された怪物ゴジラ。なぜか水爆を作った国ではなく、執拗に、日本の、それも東京の中心を襲う。それはなぜか・・・(それが加藤典洋さんのメインテーマだ)。加藤典洋さんの本を読んでいたせいで、もっと直裁に、東京の中心部、靖国神社や皇居を狙うのかとおもいきや、わりと控えめに、東京湾岸をめちゃくちゃにしただけで、国会ですら、破壊しないで終わっている・・・。まるで元寇の時のように、攻撃して、また引き返して、そこをやられた・・・みたいな展開だ。当時は、まだ、靖国神社や皇居には遠慮したのだろうか・・・。それとも制作者がそこを自己認識できていなかったのか・・・謎は残る。
その他にも、ブラックジャックのそっくりさんの「芹沢博士」が出てきたり(手塚治虫が真似たのか・・・)、菅井きんが若い女性政治家として出てきたり、見所は多い。
『桐島、部活やめるってよ』
話題の映画『桐島、部活やめるってよ』を見た。
高校生のリアルな実態・・・とかなんとかいうのは、まったく的外れの批評だと思う。
これは「日本」のリアルを、「アメリカ(桐島)」との対比で描いたとしか思えない・・・
ふつうは、なかなか、そうは思えなくて、二重化されてテンポのゆるい、なんだかなぁ、の作品に見えてしまう。じっさい、私も途中まででやめようかと思った。
もしも社会学者大澤真幸さんが「不在の桐島は、日本にとっての「アメリカ」の隠喩である」と鋭く指摘していなかったら、とても最後まで見終えることが出来なかったかもしれない。
・・・でも、ほんとうにそうだ。これが「日本」の「現実」だ。
「桐島」って、ほんとうに「アメリカ」なんだ。出来るやつで、良いやつで、でも、とつぜん不在になって、私たちを苦しめる。
私たちは、あーだこーだいいながら、結局、「アメリカ」の影のもとにいる。
「アメリカ」が出てこないと、試合に勝てないし、いや、試合に出ることすら出来ない。
「アメリカ」が私たちのことをどう見ているのか、どう思っているのか、なんで連絡をくれないのか、もうフラストレーションたまるよなぁ・・・
ほんとうにそうだ。
「桐島」ってアメリカなんだ。私たちは「桐島」の不在に耐えられない・・・
インフォメーション
安立清史(「超高齢社会研究所」代表、九州大学名誉教授)のホームページとブログです──新著『福祉の起原』(弦書房)が出版されました。これまで『超高齢社会の乗り越え方』、『21世紀の《想像の共同体》─ボランティアの原理 非営利の可能性』、『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房)、『福祉NPOの社会学』(東京大学出版会)などの著書があります。「超高齢社会研究所」代表をつとめています。https://aging-society.jp/ 参照
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