シネラで手塚治虫と虫プロの初期作品を観ました。印象は……微妙ですね。
まず「記念すべき虫プロの第一作」という「ある街角の物語」(1962)。わずか39分の作品ですが、この39分が、途方もなく長く感じられました。いろいろと実験的な試みをしているのでしょうが、音楽とアニメーションだけのこの映画、いったい手塚治虫が何をしたかったのか、分からない。相当な意気込みと費用と時間をかけて作ったのでしょうが、そこまでして作りたかったものが……分からない。なぜ、この作品を作ったのか、アニメーション制作のための会社まで作って……その意図が分からない、そういう作品でした、私にとって。39分がとても長く感じられたのです。
ついで「展覧会の絵」(1966)。これも言わずと知れたムソルグスキーのオーケストラ作品にアニメーションを乗せたものです。ディズニーの「ファンタジア」の向こうを張ったものと解説されているのですが……これも、分からない。手塚の才気は見えるし、面白い場面もあるのですが、全体として、なぜこの作品が作られなければならなかったのか、なぜ手塚はこの作品を作ったのか、それが分からない。
音楽だけなら、こんなことはない。音楽にアニメーションが乗ったとたん、しかも音声やセリフ抜きのアニメーションだった場合には、1+1が2になるのでなく、なぜか、マイナス2になったような気分です。これ、不思議ですね。じつに不思議な気がしました。


「ある街角の物語」(1962)

「展覧会の絵」(1966)

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