立命館大学・加藤周一文庫のこと
加藤さんの手書きの資料などは彼の自宅の納戸の奥に家族さえもしることなく、ひっそりと収められていたそうです。それを編集者の鷲巣力さんが発見したのだそうです。ほんとうに驚くべき資料です。彼の2万冊におよぶ蔵書もふくめて、その寄贈を一括して受け入れた立命館大学図書館もたいしたものです。加藤周一関連の資料だけでなく西園寺公望の貴重な資料などもありました。受け入れた立命館大学図書館をみて、つよい印象を受けました。私が所属していた国立大学ではこういうことは、もはや考えられません。今年も多くの文系の教員が退職することになりますが、その研究室の資料や図書の多くは散逸するか処分されることになるでしょう。残念なことです。私も退職にあたって整理と処分に苦労しました。断捨離というのは文化の継承の否定です。その経験からいっても加藤周一文庫は現代の奇蹟です。デジタル化の時代、今後こういうことはますます困難になるでしょう。大切に後世に継承していってほしいと思います。京都から帰ってきて、その思いがますます募りました。(写真はその鷲巣力さんとともに)


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