「暗い眼をした女優」
8月から9月にかけて放送大学(BS231)の映画特別講義があって、フランス映画のジャン・ルノワール監督の「大いなる幻影」(1937)とマルセル・カルネ監督の「霧の波止場」(1938)が放映されました。放送大学の「授業」なので講師の解説がつくのですが、担当が大学時代からの友人の野崎歓さんで、この解説がいい。ともにヨーロッパの大戦間に作られた映画で「戦争」についての映画でもあるのです。その「戦争」への態度が、じつにフランスらしい、というのです。現在のマスメディアの「戦争」について一色に染まっているかのような論調とはひとあじ違う。反戦や厭戦──なにしろ「霧の波止場」は脱走兵の話ですからね。なるほどこういうのがフランス流なのか、解説されてはじめて理解できました。それにミシェール・モルガン! 浅川マキの代表作のひとつ「暗い眼をした女優」というのがあります。その歌詞が「ミシェール・モルガンの眼を もうひとつ 暗くした女優の眼が 若い女を都会へと誘う」というのです。さて、どんなに暗い眼をしているのだろう、と想像もつかなかったのですが初めて見ました。これがミシェール・モルガンか! でも、あんまり、いや全然「暗い眼」でないように思うのですが。浅川マキは別の映画から発想したのかな。

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