昨年秋にNHK・BSで放映された「深読み音楽会・井上陽水」を観ました。
これは抜群に面白かった。読解がとてもスリリングだ。出演者みんなが突出した見解を披露。
まずは、小説家の朝吹真理子が「帰れない二人」や「リバーサイド・ホテル」の歌詞を「これは、心中しようとしている二人の歌ではないか」と「深読み」。ええーっ、あのほのぼのとリリカルな「帰れない二人」が? しかし、言われると、なるほど、ひとつひとつ符号してしまうところが面白い。リバーサイドホテルの、あの変な「ドアは金属のメタルで」という歌詞も、こっちの世界では金属だが、あっちの世界ではメタルなのだ、とへんなところで納得。
さらに高橋源一郎が「氷の世界」を、この世からあの世に渡る三途の川の途中にいる歌詞だ、などとこれまた「氷の世界」を「死の世界」への道行きと解釈したりして──うーん。なるほど、陽水のシュールなところは、この世とあの世とが混じり合った汽水域のようなところに発するものだったのか、と妙に納得した。


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