今年心に残った言葉──読書の黄金時代は終わった──津野海太郎が鈴木敏夫との対話でそう述べていた。ともに出版界の最前線を牽引してきた人たちの言だから重みがある。出版だけでなく、大学の黄金時代も(とうの昔に)終わっていた、ということになろうか。でも、まぁ、じたばたしても仕方ない。若い人たちにはそれなりの道があるのだろう。こちらはますます紙の本への愛着が深まるばかり。読書はもう紙の本でしか読みたくない。鉛筆片手に書き込みながらでないと読んだ気にならない。村上春樹はラジオ放送でアナログレコードをかけている。何度も聴いたり読んだりするものは、愛着のある形として残っていってほしいものだ。


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