原田芳雄と『ツィゴイネルワイゼン』
正月にDVDで原田芳雄主演の『大鹿村騒動記』を見た。昨年は、原田芳雄が亡くなった年でもあった。
原田芳雄といえば鈴木清順三部作の印象が強烈で未だに色あせない。私はホームページで「ツィゴイネルワイゼンを歩く」とか「陽炎座を歩く」といったロケ地めぐりの記事を掲載しているくらいだ。とくに鎌倉の釈迦堂の切通しとか、島田の蓬莱橋のシーンなど、いまでもありありと思い出す。じっさい現地を歩くと、さらに印象や思いが深くなる。
「ツィゴイネルワイゼン」については社会学者・橋爪大三郎さんが「ツィゴイネルワイゼン:知の擬態」という注目すべき論考を発表したこともあって、何度も見た。原田芳雄ふんする中砂と、藤田敏八ふんする青地との怪談・幽霊の物語なのだが、西欧由来の知(ツィゴイネルワイゼン)がいつのまにか幽霊になっている、というホラー仕立ての・・・いやホラーでない。今現在の日本の根拠のなさ、自信のなさ、寄る辺なさ、根拠のなさ、そうしたものを象徴しているような映画なのであった。
でも、この映画ももう30年も前になるのか。月日のたつのは早いけれど、印象は色あせていない。
http://www.littlemore.co.jp/seijun/


原田芳雄

 


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