社会学者・橋爪大三郎さんの『なぜ戒名を自分でつけてもいいのか』(サンガ新書)を読みおえました。橋爪大三郎・大澤真幸共著の『ゆかいな仏教』(サンガ新書)の前作にあたりますが、『ゆかいな仏教』では論じられていなかった、仏教と葬儀との問題について真正面から切り込んだ快著ですね。キワモノではなくて、まっとうな仏教論、正直すぎるくらい真正直な論ですね。
みんな自分や近親者の死や葬儀のことは考えたくない、考えることじたいが「縁起でもない」。だからいざとなったらどうして良いかわからない。よく分からないままに、世間の常識的なことにしたがう。いろんな不満や不合理感がつきまとう。ますますお寺や仏教から遠ざかる。というのが大方のところかと思います。この本は、葬儀についての「おまかせ」の態度が、いかに戒名という歪んだものを生み出したか、それが仏教の本質といかにかけ離れたものになっているかを、あらためて問いかけ、考えさせてくれるものです。
ふりかえってそうだなぁ、考えないようにしてきたことが、だんだんリアルに身近に迫ってきたんだなぁ、でもひとりで決めるわけにもいかんしなぁ、などと考えこんでしまいますね。でも本書のように、死や葬儀や戒名やお墓の問題がきっかけとなって、自分の生き方を見直すことが必要になるんでしょうね。


20120315G058

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