中井久夫の『臨床瑣談』(みすず書房)を読んだ。「院内感染に対する患者自衛策試案」、「昏睡からのサルヴェージ作業の試み」、「ガンをもつ友人知人への私的助言」など、どれもこれも人ごととは思えない重大な話題だが、さて内容は・・・。それが、深刻ぶらず、病へのノウハウ本にはならず、しかし、じつに的確な医療的知見が披瀝されていて、ああ、これは「達人」だという感想を持つ。そもそも中井久夫氏は精神科医であって、上記のような話題は、専門外なのだ。でも、達意の医療者の知見がちりばめられていて、じつに、ああそうか、そうなのか、と腑に落ちる話になっている。医の達人ですね。こういう臨床医は、さて、どれくらいいるのだろうか。たくさんいてほしいなぁ。


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