ハワイ大学で開かれているハワイ老年学会にきております。昨日は、サイトビジット(現地見学)に参加して、ハワイの様々な介護老人施設を訪問してきました。今回は、ナーシングホーム(日本の特別養護老人ホームや老人保健施設など)ではなく、ケア付き住宅を中心に見学先をアレンジしたとのこと。ハワイの中でも有料な「アシステッド・リビング」や「メモリーケア」といった施設を見せてもらいました。まず呆然とするのは、その価格。すべて民間の有料老人ホームというような位置づけになるので、個室ワンルームでは月額40万円以上から80万円くらいまで。ついため息が出てしまう。入居者は日系の人たちが中心。ちょうど家族が来ていたので聞いてみると、民間の保険に入っていた(年間60万円くらい払っていたそうです)のでそれで三分の二くらいはカバーされ、あとはソーシャルセキュリティ(アメリカの年金のようなもの)やペンション(年金)などで95%まではカバーできる、と語っていた。でも政府や行政からの支援や補助その他は一切なく、高齢者施設に入居すると原則としてすべて個人払いになる。訪問したところはみなそうでした。たしかに美しくきれいですばらしいが、おカネがなければどうしようもない、というアメリカの現実を、まざまざと見せつけられる思い。でも、世界的に「自己責任」とか「自由化」とかの流れで、「小さな政府」「公務員のムダ」、はては税金の話になっていって、やがて公的な医療保険や介護保険も、どうなるか分からない、そして家族は小さく共働きになると、家族介護は成り立たない、公的な施設もないとなると民間のこのような介護付き施設しかないということになるのでしょう。さて、税と社会保障の一体改革などと言いながら、いったいどうなるの改革、というほど混迷している日本の現実を見ると、アメリカのような市場主義が、老後の世界の現実になるのも、ありえないことではない。

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