Currently viewing the tag: "ジブリ、加藤周一、日本その心とかたち、座頭市、日本外交"

加藤周一、座頭市を語る
ジブリから出ていた「日本その心とかたち」の特典映像に「加藤周一、座頭市を語る」が入っている。2004年4月の収録とあるから、加藤周一が亡くなる4年前、当時85歳ではなかっただろうか。
ジブリの高畑勲さん、鈴木敏夫さんらとともに、源氏物語絵巻物や、座頭市などの映画を論じる勉強会の模様だ。座頭市は(視覚障害者だから)遠くのことは見えない、分からない。「あっしには関係ねぇことでござんす」とうそぶいていながら、事態が近くで動くとじつに素早く対応する(たとえばニクソン訪中のあとの田中角栄訪中)。これこそ日本の外交の理想の姿そのものではないか、というのです。これはすごい。85歳だから、ときどきエンジンがうまくかからない時はある。しかし一度走り出すと、そのスピードやカーブの切れやコーナリングなど、往年のスーパーカーもかくや、というほどの快感だ。「日本の行くべき道は座頭市」というのも、じつにひねりがきいている。言われてみればジブリのアニメも「源氏物語絵巻物」から連綿とつづく「今、ここ主義」の伝統の中にあるのだなぁ。


ジブリ・加藤周一・座頭市
ジブリから出ていた加藤周一のDVD「日本その心とかたち」の特典映像に、座頭市について語った興味深いエピソードが出てきます。彼はヤクザ映画や「座頭市」などの映画も観ていたのですね。しかもその中に「日本文化」の特徴を見いだしていたのです。座頭市とは何か──(視覚障害者ですから)遠くのことは分からない。「あっしには関係ねぇことでござんす」とうそぶいていながら、敵が近くで刀を抜く音が聞こえようものならじつに素早く対応する。これこそ日本外交の理想の姿ではないか、というのです。なるほど、皮肉たっぷりなのですが、そのとおりだと感心しきりでした。映画をたんに娯楽としてではなく、その中に日本文化の基本構造が現れていると見ぬいていたのです。加藤さんの文章に勇気づけられて、私もジブリ映画から発想のヒントをえて、いくつか文章を書いたりするようになりました。