ひょっこりひょうたん島に内蔵されたドラマ
今年の5月、東北大震災被災地をめぐった時に、被災地に「ひょっこりひょうたん島」のモデルが存在することを知った。それは岩手県大槌町沖の蓬莱島であった。あとで、調べてみると、驚くようなことが分かってきた。この「ひょっこりひょうたん島」というのは、途方もないドラマを内蔵していたのである。
なんと・・・現実に起こりうる悲惨さにもかかわらず子どもたちが元気で明るく生きる姿を描くため、登場人物はすべて「死んだ子どもたち」として物語を作った・・・とある。えええっ。ほんとうなのか。そんなことは、まったく知らなかったし、想像もしていなかった。
脚本家だった井上ひさしの人生も調べてみると、これまた途方もない人生経験の人なのだった。「井上ともう一人の原作者である山元護久、そして担当ディレクターの3人が、ともに両親に頼ることのできない子供時代を送ったことから、「親」を登場させなかった」(ウィキペディア)というし、「物語の場において発生しうる食糧危機という現実的な問題を回避し、子供たちの親や大人に絶望したうえでもつ明るさを描くユートピアとするため、登場人物をすべて「死んだ子どもたち」として物語を作っており、サンデーと5人のこどもたちは最初にひょうたん島に遠足に行ったときの火山の噴火に巻き込まれて既に死亡した設定になっている」(ウィキペディア)というのだ。これは愕くべきことだが、ウィキペディアのことだから、慎重にその事実を判断しなければならない。しかし、ほんとうだとしたら、なるほどと納得できるところもあるし、この物語は、予想外の深さをもったドラマだったということが分かる。「ひょっこりひょうたん島」は奥が深いな。


ひょっこり2沖に見えるが、ひょっこりひょうたん島のモデルとなった蓬莱島

ひょっこり3

ひよっこり4

 蓬莱島ちかくの東京大学海洋研究所の施設。職員宿舎だったが、破壊された。

ひよっこりひょうたん

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