沢木耕太郎の『銀の森へ』に導かれて、岩井俊二の「花とアリス」(2004)を観た。はじめはなかなか中に入れなかったけれど、途中から一気に惹きつけられた。後半にいくつも波が来る。とくに転調があって花とアリスが本気になってけんかするシーン、花が敗北して泣きながら告白するシーン、その後の不思議な解決、不思議な癒やしがやって来るシーン、そしてなんと言ってもアリスである「蒼井優」が<蒼井優>へと脱皮・変身するバレエのシーン。これはやっぱりすごい。「フラ・ガール」のプレリュードがすでにここにあった。フラと拮抗するバレエがすでにあった。観た後で、沢木耕太郎の文章を読み返す。私が感じたことが過不足なく、いや、それどころか、見落として(見忘れて)いたところまで、丁寧に、あっさりと、とてもチャーミングに、描写しつくしていた。参ったなぁ。
それにしても、花(鈴木杏)もアリス(蒼井優)もいいですね。蒼井優、福岡の人だという。なんと長女と次女のでた女子校の「先輩」らしい。「先輩」という鈴木杏の声が、ふいにひびいてきた。


花とアリス2 花とアリス3

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