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沢木耕太郎がその映画評で激賞していたので、古い映画ですが、黒木和雄監督・原田知世主演の映画『紙屋悦子の青春』(2006)を観ました。いきなり冒頭、フケメイクの原田と永瀬が出てきたところで、なぜかひどくがっかりして、何回か、観るのを止めてしまいました。ようやく、何度目かのトライで、その回想シーンを全部飛ばしたので、終わりまで観ることができました(だから全部を観たとは言えないかもしれません)。凄い名作とは言いませんが、じーんとくる映画らしい映画です。最初、兄嫁役の水上まなみに押されて、原田知世の影がうすい。大丈夫かと思っていると、中途からどんどん存在感が増してきて、後半は、ほとんど原田知世の表情アップを観るための映画です。微妙な心理のあや、ちょっとしたどんでん返しなど、まるで「この世界の片隅で」を思わせます。というかこの映画を参照して「この世界の」が出来たに違いない。この映画は黒木監督の遺作だそうです。

(この映画撮影時、原田知世はすでに30歳を越えていた、というのもひとつの驚きです)