福岡ユネスコ協会のシンポジウム「未来に可能性はあるか-311以降の社会構想」が無事終了
11 月16日、福岡ユネスコ協会主催のシンポジウム「未来に可能性はあるか-311以降の社会構想」が無事終了しました。
北海道からは中島岳志さん、東京から木村草太さん、大阪からは小野善康さんと、各地から多彩なシンポジストに来ていただきました。基調講演と午後のディスカッションでは議長として統括してもらった大澤真幸さんが超多忙で、直前までどんなストーリー展開になるのか読めなかったので、ちょっと心配になることもありましたが、結果は大成功。非常に活発で内容の深いシンポジウムになったと思います。大澤真幸さんも「こんなうまくいったシンポジウムもないのではないか」というほどでした。聴衆も予想以上に多く、学生や留学生たちもたくさん参加してくれました。福岡ユネスコ協会のスタッフが「学生さんが最後までしっかり出席していただけでなく、しっかりノートを取りながら真剣に聞いているので驚きました」と言っていました。おまけに会場でブックレットを購入する学生も少なくなかったそうです。これは、ふつうありえないことです。この一事だけでも、今回のシンポジウムがとても成功したことを証していると思います。
明日の福岡ユネスコ協会シンポジウムの打ち合わせをしました。怖ろしい話をたくさん聞きました。
今夜、さきほどまで、明日の福岡ユネスコ協会のシンポジウムの打ち合わせをしていました。
東日本大震災当時、官邸につめていた、明日のシンポジストの小野善康さんの話が、リアルすぎて、すごかったです。
日本が原発事故で沈没しなかったのは、ほんの偶然にすぎない。たまたまの幸運が重なったから。もういちど失敗したら、日本は全滅だし、世界中の笑いものになる、という話がほんとうに怖かった。当時、官邸にいた小野善康さんが、官邸から逃げ出したかった、というのだから、これはリアルでした。
主催者としては、明日のシンポジウムの実現には、けっこう苦労したのですが、きょうの打ち合わせでいろいろな話を聞いただけで、苦労のかいがあったような気がしてきました。
卒論題目検討会が開かれました。
卒論題目検討会がありました。
昨日は、卒論題目をきめるミーティングでした。4年生全員が、卒論の題目を報告したのですが、なんだかとても平凡な題目が多くて、ちょっと残念な気持ちになりました。題目だけではありません、時間をかけてアンケート調査してるはずなのに、この時期になっても、これから分析します、これから考えます、などと何も内容も方向性も出ていない人が多いのも残念なことでした。
そもそも「問い」がない人が多いのは、もっと残念になりました。分からないから調べてみる、調べたあとで、出てきた結果をみてから考える、というのでは「問い」がないのと同じです。ううーん、と唸ってしまいました。
今の4年生は、長期不況、未曾有の大災害などにもろにぶちあたった世代です。就活でも苦労して、卒論どころではなかったのだろうか。そうなると、もっとも本末転倒、問題ですよね。
卒論の意味
卒論題目検討会
きょうは4年生全員が集まっての「卒論題目検討会」の日です。卒論は、これまで、学校システムの中で、ずっと受け身で教えられるだけの存在だったものが、自分からテーマを立て、自分で調べ、リサーチし、その材料で自ら考え、そして書く、という能動的な存在に変身していくべき貴重な一年間です。
近年、卒論を課さない大学や学科もふえているようですが(じっさい教員の側の負担も並大抵ではない)、卒論があるからこそ、大学は大学として高校までとはまったく違った存在になっているのだと思います。やはりこれこそ、生徒から学生へ、そして独立して自ら学び、考え、書ける人間へと大成長する貴重な経験だと言えます。
卒論に取り組むということは、学ぶだけの受け身の存在から、何かを生み出していく能動的な存在へと自分を変えていく修行でもあるわけです。「修行」ですから、まずは気持ちの切り替えが必要ですし、これまでの自分とサヨナラするくらいの「覚悟」も必要なのです。しかもこれがマラソンのように長期にわたる、なかなかの苦行・荒行であることを、学生はなかなか理解できません。
ようやく理解しはじめた頃には、すでに締め切り日がひたひたと近づいてきています。秋から冬にかけて非常に苦しい時がやってきます。マラソンと同じようにゴール前がいちばん苦しい時期になります。がんばってもがんばっても書けない、しだいに自分に自信を失って、追いつめられて泣きそうになる学生も出てくる頃なのです。
ハッピー・フュー Happy Few
イベントや講演会を企画・実施した経験のある方々は、みなさん、ご苦労されたことがあると思います。
「せっかく苦労して、こんなに良い企画をして、こんなに良い講演会やイベントの実現にこぎつけたのに、さっぱり人が来てくれない」という経験。とりわけ、若い学生たちに、さっぱりこちらの気持ちが通じないという虚しさ。この徒労感に打ちのめされたことがある方は多いのではないかと思います。
今年の6月に福岡で開いた「香港映画は二度死ぬ」という講演会でもそうでした。アジア映画の面白さ、映画を通じてこの現実を越えていくわくわくするような話。これこそ若い世代、学生たちにぜひ聞いてほしい、という思いも虚しく、学生の姿は、たった一人もありませんでした・・・
この講演会に講師として来てもらった長年の友人にぼやきました。「授業の一環として、学生を連れてくれば良かったかなぁ」と。
この友人は、「学生を無理矢理動員なんかしないほうが良いんだよ。分かる人には分かる。私たちは Happy Few に向けて話すのだから」と慰めてくれました。
このコトバはずしんと心に残りました。でも、そう諦めて良いものか。
今週末のイベントに向けて、また学生はさっぱり集まりそうもないのですが、まだ、心がざわざわと揺れています。
11月16日の福岡ユネスコ協会シンポジウムに向けて
11月16日の福岡ユネスコ協会シンポジウムに向けての事前の予習というか、参加者の著作を読んで勉強しています。
まずは木村草太さんの『憲法の創造力』
写真からみると、見るからにとんがっているラディカルな人のように見えたんですが、読んでみると、意外におとなしい。
「憲法の創造力」というのは最後のほうに出てくるのですが、え、それだけか・・・というような意外性もありました。
もうちょっと読んでみないと。
お次は中島岳志さんたちの『脱グローバル論』(講談社)
面白いですね。じつに面白い。
内田樹、中島岳志、冴えていますね。
猖獗を極めた橋下維新の会や新自由主義への、まっとうな批判。
こんこんと湧き上がるキャッチなスローガンやフレーズ。そうだそうだと、すいすい読めてしまう。
でも、こういうワンフレーズ批判だけで満足していてはいけないので、もうすこし腰の据わった他の著作も読んでみよう。
インフォメーション
安立清史(「超高齢社会研究所」代表、九州大学名誉教授)のホームページとブログです──新著『福祉の起原』(弦書房)が出版されました。これまで『超高齢社会の乗り越え方』、『21世紀の《想像の共同体》─ボランティアの原理 非営利の可能性』、『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房)、『福祉NPOの社会学』(東京大学出版会)などの著書があります。「超高齢社会研究所」代表をつとめています。https://aging-society.jp/ 参照
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