「桂離宮」を教えられたのは日本に亡命していた建築家のブルーノ・タウトからである。タウトは私の故郷・高崎のお寺に仮寓していた。タウトは桂離宮を来日の直後に訪ねたという。そして日本の美の極致として激賞した。私もいつか訪ねたいと思っていたが思いのほか敷居が高く、なかなか予約が取れない。昨年秋にも申し込んだがだめだった。近年はネット上から申し込みできるので、日にちや時間をかえて何十回も申し込んだが、だめだった。先日、関西で科研のミーティングがあるので、再び申し込んでみたら、とれた。厳寒の平日だったからだろうか。寒気がやってきて各地で大雪の予報が出ていた。京都の桂も寒かった。20人のツアーで1時間ほど、離宮内の庭園と茶室をめぐる。なるほど、こういうものだったのか。残念ながらタウトの激賞した書院のほうは外見だけなのたが、茶室にも、凝りに凝った意匠が満載。この細部への注力というのはどういうことなのだろう。日本のバロックなのだろうか。バロック的なごてごてならざる、簡素だが、しかし細部に極度に凝っていくという日本的なバロックなのだろうか。これをつくった八条宮は、かなりというか相当に変わった人だったのに違いない。でも、こういうものが作れる時代もあったのだな。


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