【社会調査実習】アンケート調査のアイデア
社会調査実習の皆さん
アンケート調査の設計と実施は、かんたんに考えていたところ、じつは、とっても奥深く、なかなか難しいものであることが、だんだんに分かったきたことと思います。そうです、かんたんに見えて、じつはとっても難しいのだと実感することも、【社会調査実習】の重要なポイント、それこそが社会調査実習の教育効果でもあります。

さて、ここがふんばりどころだ。
ここで、ああ、難しい、と諦めてしまっては、残念なことになる。
難しさを分かりつつも、最後までふんばりつづけてこそ、学ぶことも多いというものです。
とは言っても茫然自失でも困るので、いくつかヒントを。

1.選択として「一般人」調査と「専門家」調査とがありうると思います。ごくふつうの一般人に、ごくふつうの一般的なことをきく。新聞やテレビ、マスコミのアンケート調査は、だいたいこれでしょう。ものすごく数が多いと、意外な発見があることもあるが(たとえばNHK調査)、だいたいは、平凡なことが平凡に分かるだけに終わります。「専門家」調査は、ひとつのテーマや事象にずっと関わりつづけてきた人たちへの調査です。天神の「無縁社会」化について、何年も何十年も見続けてきた人たちですから、いろいろな事例やいろいろな変化をしっており、いろいろなことを考え、いろいろな解決策や対策についても考えてきたに違いない。まさに、素材の宝の山だと思います。

2.ところが、こうした専門家へはアプローチが難しい。たとえば「守秘義務がある」というのでおじけづいてしまったのが、先日のパターンだと思います。しかし、これは乗り越えられない壁ではない。まずは、どんな内容だと答えても守秘義務にふれないのか、という範囲を聞き出すことから始める必要があります。それが分かったら、その範囲内で、かんたんな質問項目を設定するればよい。たとえば「この5年間くらいの間に、天神では「無縁社会」が進んでいると思いますか」とか、「活動の中で、「無縁社会」的な事例に出会われたことがありますか」など。
「無縁社会についての事実」(見たことがあるか、直面したことがあるか、聞いたことがあるか、などと婉曲にきく)、「無縁社会についての認知」(増大しているのか、横ばいなのか、へっているのか)、「無縁社会についての意見」(これは、住民の意識のしからしむところで、いかんとかもがたい、とか、いや行政がもっと介入すべきだとか対策すべきだとか、町内会がもっとがんばるべきだとか・・・いろいろと提案もあるだろう)という3つの柱だけでもじゅうぶんに発見価値のあるアンケートになるはず。

3.専門家の中には、民生委員だけでなく、町内会長さん、自治会長さん、老人会長さん、公民館長さんなども、調査対象に入れて、対比させると面白い。さらに拡大して、ボランティアやNPOの人、公民館にきている人にも、聞いてもよい。

4.そもそも、「無縁社会についての事実」「無縁社会についての認知」「無縁社会についての意見」ということなら、いっぱんの人(ふれあいサロン、公民館利用者など)に聞いても、専門家と対比できるから面白い。

5.というわけで、事実、認知、意見ということだけ聞いても、じゅうぶんに発見力のある、おもしろいアンケートが出来ると思うよ。地域別、居住形態
居住年数、家族構成、年齢や職業(前職だったりするかもしれない)などは、入れても良いが、どんどんふくらんでいってしまう。まして、おそらく因果関係まで分析していくのは、難しいだろうから、まずは、インパクトのある発見力のある項目にしぼって、実現しているのが、必要ではないだろうか。かんたんなクロス集計でも、じゅうぶんに、おもしろい結果がでると思う。

6.そのうえで、天神の「無縁社会」化について、行政や関係者は、どう対処しているのか、どんな対策や対応が行われているのか、その事実の把握をしていくことも、分析のうえでも報告書のうえでも、とても大切なポイントになると思う。


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